【解法の要点】
身体活動・運動の健康影響に関する問題である．身体活動量の増加や習慣的な有酸素性運動による疾病予防効果については，「応用栄養学」分野でも頻出事項 なので，しっかりと確認しておこう．
【解説】
〇⑴ 文章通り．習慣的な運動により，リポたんぱく質リパーゼ（LPL）の活性が亢進し，トリグリセリドの分解が促進されるため，血清HDL-コレステロール値が上昇する．そのため，習慣的な運動は，脂質異常症や動脈硬化の予防につながる．
×⑵ 習慣的な運動は，骨格筋へのグルコースの取り込みを増加し，インスリン感受性を改善させる．そのため，習慣的な運動は，血糖値を低下させ，糖尿病予防につながる．
〇⑶，⑷ 文章通り．習慣的な運動は，脳神経細胞の活性化や精神症状の安定をはかり，認知機能やうつ状態の発症と進行を予防する．
〇⑸ 文章通り．習慣的な運動は，生活習慣病や循環器疾患だけでなく，結腸がん，乳がんなどのがんやロコモティブシンドロームのリスクを低減する可能性が報告されている．
正解 : （2）
【解法の要点】
「健康づくりのための身体活動基準2013」は，検診結果や年齢層に応じた，身体活動や運動などの基準値を定めている点に特徴がある．また身体活動を増加することで，リスクが軽減できる疾患の種類（5種類）を明確化している．「社会・環境と健康」分野でも頻出問題である．特徴をおさえておこう．
【解説】
×⑴ 「健康づくりのための身体活動基準2013」では， 全年齢が対象者に含まれる．18歳未満，18 〜 64歳，65歳以上の3つの年齢区分が設けられている．65歳以上の者に対しては，強度を問わず，毎日40分の身体活動が示されている．
×⑵ 「健康づくりのための身体活動基準2013」では，血糖・血圧・脂質に関する状況を，検診結果で基準範囲内の者・保健指導レベルの者・リスク重複者に分けたうえで基準が定められている．
×⑶ 「健康づくりのための身体活動基準2013」では，推奨する身体活動量は，メッツを用いて具体的に示されている．
×⑷ かなりきついと感じる強度の運動ではなく，「健康づくりのための身体活動基準2013」では3メッツ以上（=息が弾み汗をかく程度の運動）の強度の運動を毎週60分（4メッツ・時/週）行うことを18 〜 64歳を対象に推奨している．世代共通の方向性として30分以上・週2回以上運動習慣をもつことを奨励している．
○⑸ 文章通り．「健康づくりのための身体活動基準2013」では， 身体活動の増加でリスクを軽減できるものとして， 認知症のほかに糖尿病，循環器疾患，がん，ロコモティブシンドロームが含まれることを明確化した．
正解 : （5）