【解法の要点】
食欲・消化・代謝に関わるホルモンについての出題であり,いずれも基礎的な事項である.それぞれのホルモンの分泌部位と作用を整理しておこう.
【解説】
×⑴ グレリンは,空腹により刺激され,摂食で抑制される.つまり,食後に比べて食前に分泌が増加する.なお,グレリンは,主に胃から分泌される消化管ホルモンで,食欲増進作用をもつ.
×⑵ レプチンは,脂肪細胞から分泌されるアディポカインであり,交感神経にはたらきかけ,エネルギー代謝を促進する.また,食欲中枢にはたらきかけ,食欲を抑制する.
×⑶ アディポネクチンは,脂肪細胞から分泌されるアディポカインで,多彩な生体作用を有する.インスリン作用に関しては,インスリン感受性を増大させる.
×⑷ TNF-α(腫瘍壊死因子α)は,マクロファージや脂肪細胞から分泌される炎症性サイトカインであり,インスリン抵抗性を増大させることが知られる.
○⑸ インクレチンは,血糖値依存的に膵β細胞を刺激し,インスリン分泌を促進する消化管ホルモンである.GIP(gastric inhibitory polypeptide)とGLP-1(glucagon-like peptide-1)の二種類がある.
正解 : (5)
【解法の要点】
摂食調節にかかわる満腹と空腹中枢を刺激する因子について問う問題である.血液成分の化学信号(グルコース,遊離脂肪酸など)や摂食調節ペプチドについて整理しておこう.
【解説】
×⑴ 摂食中枢は,間脳の視床下部に存在する.
×⑵ 食間期(空腹時)に血糖値が低下すると,血中遊離脂肪酸が増加し,摂食中枢を刺激する.
×⑶ 食後の血糖値の上昇は,満腹中枢を刺激する.
◯⑷ 文章通り.レプチンは,脂肪組織より分泌されるホルモンで,体脂肪蓄積とともに分泌されるため,体脂肪量を反映する.
×⑸ グレリンは,胃から分泌されるホルモンで食欲を促進する.なお,食欲を抑制するのはレプチンである.
正解 : (4)