【解法の要点】
肥満症の食事療法については日本肥満学会編「肥満症診療ガイドライン2016」に準じた.肥満症の栄養指導は,栄養管理の中でも最も重要なポイントのひとつであり,国家試験でも頻出である.肥満症の診断と治療については,最新のガイドラインをよく勉強しておこう.本症はBMIが25以上30未満より肥満(I度),内臓脂肪面積>100㎝ ²より内臓脂肪型肥満と診断されるので,まずは目標摂取エネルギー量を設定してほかの栄養素摂取量を考える.目標摂取エネルギー量を25 kcal/kg標準体重/日とし,標準体重は1.65×1.65×22=59.9 kgより目標量は25 ×59.9でおよそ1,500 kcalとなる.
この問題は出題当初の情報を元に解説が書かれています.最新の情報を「肥満症診療ガイドライン2022」で確認しましょう
【解説】
×⑴ 目標摂取エネルギー量はおよそ1,500 kcalであり,600 kcalでは少なすぎる.
○⑵ 文章通り.たんぱく質エネルギー比は 15 〜 20 %とする.よって目標たんぱく質摂取量は1,500 kcal×0.15 〜 0.2=225 〜 300 kcalとなる.たんぱく質1 g は4 kcalであることから目標量はおよそ56 〜 75 gとなり,正しい.
×⑶ 脂質エネルギー比は 20 〜 25 % とする. よって目標脂質摂取量は1,500 kcal ×0.2 〜 0.25=300 〜 375 kcalとなる.脂質1 gは9 kcalであることから目標量はおよそ33 〜 42 g となり,10 gでは少なすぎる.
×⑷ 炭水化物エネルギー比は 50 〜 60 %とする.よって目標炭水化物摂取量は1,500 kcal× 0.5 〜 0.6=750 〜 900 kcalとなる.たんぱく質1 gは4 kcalであることから目標量はおよそ188 〜 225 g となり,300 gでは多すぎる.
×⑸ 「肥満症診療ガイドライン2016年版」では食事療法について食塩摂取量の記載はないが,「日本人の食事摂取基準(2020年版)」では55歳男性の食塩摂取目標量は7.5 g 未満とされており,10 gでは多すぎる.
正解 : (2)
【解法の要点】
肥満については例年出題される頻出事項である.他の基本事項がきちんと理解できていれば難しい問題ではないので,基本的な事項をきちんとおさえておくこと.
【解説】
×(1) 肥満者では,肥大した脂肪細胞より分泌されるアディポサイトカインなどの影響により,インスリン感受性が低下する.
×(2) 肥満者では,レプチンを含むアディポサイトカインの分泌が高まる.レプチンの分泌過剰により,レプチンに対する感受性が低下すると,レプチンの分泌がさらに上昇する.
×(3) 肥満は,基礎疾患がない状態で生活習慣などが原因で生じる原発性肥満と,他の疾患に伴って生じる二次性肥満に大別されるが,原発性肥満の方が圧倒的に多い.
◯(4) 文章通り.クッシング症候群の身体的特徴として,体幹部に集中して脂肪が蓄積する中心性肥満がある.そのほか,顔面に集中して脂肪が蓄積する満月様顔貌などもみられる.
×(5) メタボリックシンドロームの診断における体格の基準には,腹囲が用いられる.BMIは,肥満症の診断に用いられる.
正解 : (4)
【解法の要点】
脂質異常症の食事療法ついては日本動脈硬化学会編「脂質異常症診療ガイド2018年版」に準じた.脂質異常症については食事療法のほか,診断基準やリスク別脂質管理目標についても把握しておくこと.
【解説】
×⑴ 高カイロミクロン血症では,脂質の摂取エネルギー比率を15%E以下または20 g以下とし,中鎖脂肪酸を主として利用する.
○⑵ 文章通り.高LDL- コレステロール血症では,飽和脂肪酸摂取のほか,コレステロール,トランス脂肪酸の摂取を控える.
〇⑶ 文章通り.低HDL- コレステロール血症では,トランス脂肪酸摂取のほか, 炭水化物摂取やn-6系多価不飽和脂肪酸の過剰摂取を控える
○⑷ 文章通り.脂質異常症の食事療法では,アルコール摂取量を25 g/ 日以下とする.
○⑸ 文章通り.果糖を含む加工食品の過剰摂取はトリグリセリドを上昇させるので,高トリグリセリド血症では摂取を控える.
正解 : (1)
【解法の要点】
脂質異常症の食事療法ついては日本動脈硬化学会編の「脂質異常症診療ガイド2018」に準じた.脂質異常症については頻出であり,食事療法のほか,診断基準やリスク別脂質管理目標についても把握しておくこと.
【解説】
×⑴ 高LDLコレステロール血症を含む脂質異常症では,炭水化物の摂取エネルギー比率を50 ~ 60% E とする.
×⑵ 高LDLコレステロール血症では,LDLコレステロールを上昇させる飽和脂肪酸,コレステロール,トランス脂肪酸の摂取を控える.飽和脂肪酸エネルギー比率は7% E未満となるようにする.
×⑶ 高LDLコレステロール血症では,トランス脂肪酸の摂取を控える.
○⑷ 文章通り.高LDLコレステロール血症では,コレステロール摂取量を200 mg/ 日未満に抑える.
×⑸ 脂質異常症では,食物繊維の摂取を増やすようにする.「脂質異常症診療ガイド2018年版」では1日25g以上を目安に,食物繊維をできるだけ多く摂取することを推奨している.
正解 : (4)