【解法の要点】
循環器疾患を引き起こしやすい病態についての問題.正解に至るには解剖学的知識も必要であるため,出題された内容については,解説をよく読んで確認しておこう.
【解説】
×(1) 脳出血の原因として最も多いのは,高血圧である.
×(2) 非外傷性くも膜下出血の80%以上は,脳動脈瘤の破裂により起こる.一過性脳虚血発作(TIA)は,主に動脈硬化を原因とする病態であり,脳梗塞と同様に下半身の麻痺やしびれなどをきたす.
×(3) ラクナ梗塞は,高血圧などを主な原因として,脳深部の細い動脈(穿通枝)が,狭窄または閉塞する疾患である.なお,心房細動は,脳塞栓の原因となる.
×(4) 脳塞栓は,心房細動における左心房または左心耳内血栓を主な原因とする.なお,下肢深部静脈血栓症は,エコノミークラス症候群(肺血栓塞栓症)の原因となる.
◯(5) 正しい組合せ.不安定狭心症は,心筋梗塞を引き起こしやすい病態である.
正解 : (5)
【解法の要点】
高血圧症患者の栄養管理に関する問題であるが,「高血圧治療ガイドライン2014」の「生活習慣の修正項目」をおさえておこう.
この問題は出題当初の情報を元に解説が書かれています.最新の情報を「高血圧治療ガイドライン2019」で確認しましょう(QB2023-24 p230)
【解説】
×(1) 高血圧患者における栄養管理では,コレステロールや飽和脂肪酸の摂取を控えて,魚(魚油)を積極的に摂取することが勧められる.
×(2) 高血圧患者における栄養管理では,食塩摂取量を6 g/日未満とする.
◯(3) 文章通り.高血圧患者における栄養管理では,アルコール摂取量は,エタノールで男性なら20~30 mL/日以下,女性なら10~20 mL/日以下とする.
×(4) 高血圧患者における栄養管理では,カルシウムの摂取量を制限しない.
×(5) 高血圧患者における栄養管理では,マグネシウムの摂取量を制限しない.
正解 : (3)
【解法の要点】
本問題で取り扱われている薬は,すべて降圧薬である.各選択肢の薬が,どのような機序で作用するかを間接的にたずねられていると考えると解きやすい.
【解説】
×⑴ アンジオテンシンⅡ受容体拮抗薬は,アンジオテンシンⅡの作用を阻害することで,尿中ナトリウム排泄を促進する.また,尿中カリウム排泄は抑制される.
○⑵ 正しい組合せ.アンジオテンシン変換酵素阻害薬は,アンジオテンシン変換酵素を阻害し,アンジオテンシンⅡの産生を抑制することで,尿中ナトリウム排泄を促進するとともに,尿中カリウム排泄を抑制する.
×⑶ 抗アルドステロン薬は,腎臓の集合管および遠位尿細管でのナトリウムの再吸収を抑制する.つまり,尿中ナトリウム排泄は促進される.なお,抗アルドステロン薬は尿中カリウム排泄を抑制することから,K保持性利尿薬とよばれる.
×⑷ ループ利尿薬は,ヘンレループにおけるナトリウムの再吸収を抑制する. つまり,尿中ナトリウム排泄を促進する.それに伴い,カリウム排泄も促進する.
×⑸ サイアザイド系利尿薬は,遠位尿細管におけるナトリウムの再吸収を抑制する.つまり,尿中ナトリウム排泄を促進する.それに伴い,カリウム排泄も促進する.
正解 : (2)
【解法の要点】
医薬品と食品の相互作用は,医薬品の作用機序を知っていると理解しやすい.医薬品の薬理効果だけではなく,その作用機序と食品が及ぼす影響も一緒に理解しておこう.
【解説】
×(1),(2),(3),(5) 選択肢(4)の解説参照.
◯(4) 正しい組合せ.ワルファリンは抗凝固薬であり,心臓内で血栓ができやすくなる心房細動患者の脳塞栓症予防のためなどに投与される.ワルファリンは,ビタミンK依存性凝固因子の生成に必要なビタミンKの再生を阻害することで薬理効果を発揮するため,納豆や青汁などビタミンKを多く含む食品を摂取することにより効果が減弱する.
正解 : (4)