【解法の要点】
アルツハイマー病やパーキンソン病などの神経変性疾患については,およそ2年に1回出題されている.障害される部位や特徴的な症状が出題されることが多いので,覚えておこう.
【解説】
×(1) ウェルニッケ脳症は,ビタミンB₁欠乏で起こる.ビタミンB₁₂欠乏では,巨赤芽球性貧血などが起こる.
◯(2) 文章通り.アルツハイマー病では脳萎縮がみられ,認知機能が全体的に低下する.
×(3) アルツハイマー病では,見当識が障害されやすい.なお,見当識とは,自分がいる場所や時間,周囲の人や状況を正しく認識する機能であり,見当識障害は徘徊の原因となる.
×(4) 片麻痺は,錐体路の障害で起こる症状であり,パーキンソン病では通常みられない.
◯(5) 文章通り.パーキンソン病では,無動,筋強剛,安静時振戦,姿勢反射障害などの錐体外路症状のほか,便秘などの自律神経症状もみられる.
正解 : (2),(5)
【解法の要点】
脊髄の変性については国試初出の内容であったが,選択肢⑴の設問が基礎的な出題であったため,解答することができるだろう.
【解説】
○⑴ 文章通り.脚気をはじめ,ウェルニッケ脳症,コルサコフ症候群などの神経障害は,ビタミンB 欠乏により生じる.
×⑵ 妊婦の葉酸欠乏症では,胎児に神経管閉鎖障害がみられる.なお,脊髄の変性は,ビタミンB₁₂ 欠乏症でみられる.これを亜急性連合性脊髄変性症という.
×⑶ レビー小体型認知症やアルツハイマー型認知症の原因は,脳の変性である. なお,脳血管障害が原因で起こる認知症は,脳血管性認知症である.
×⑷ アルツハイマー型認知症では,記憶障害や見当識障害がみられる.パーキンソン病様症状がみられるのは,レビー小体型認知症である.
×⑸ パーキンソン病では,通常片麻痺などの錐体路症状はみられず,無動,筋強剛,安静時振戦,姿勢反射障害などの錐体外路の障害や,自律神経症状,認知症などがみられる.なお,脳血管障害では,錐体路の障害がみられる.
正解 : (1)