【解法の要点】
運動器は身体を構成し,支え,動かすための器官であり,骨,軟骨,骨格筋,靱帯,腱,椎間板,神経によって構成される.運動器の機能を保つことは健康寿命の延伸に極めて重要であるため,理解を深めておこう.
【解説】
◯(1) 前腕は,腕のひじから手首までの部分であり,橈骨(親指側)と尺骨(小指側)で構成される.橈骨と尺骨の関節部分では一方の骨がクルクルと回転するため,手のひらを返すこと(回内回外)ができる.
◯(2) 骨膜は,骨の外側にある丈夫な結合組織の膜であり,骨の保護や成長,骨への栄養補給,骨折の際の骨再生,骨と筋の結合に関与している.
◯(3) 靱帯は強い結合組織であり,骨と骨を連結する.なお,骨と骨格筋を連結するのは腱である.
◯(4) 骨と骨の間に隙間がある連結を可動関節(可動性連結)という.関節を構成する2つの骨の凸面を関節頭,凹面を関節窩と呼び,これらは関節包で覆われている.
×(5) 運動器を構成する骨格筋は横紋筋である.一方,消化管や血管などに存在する筋肉は平滑筋である.なお,骨格筋は,自分の意志で動かすことができる随意筋である.
正解 : (5)
【解法の要点】
運動器に関する問題は,近年コンスタントに出題がある.骨粗鬆症や骨軟化症などの疾患は頻出なので,あわせて理解しておこう.
【解説】
×⑴ 骨の主な無機質成分は,リン酸カルシウムである.なお,主な有機質成分は,コラーゲンである.
×⑵ 骨端軟骨は,骨端と骨幹の間にある軟骨で,骨を伸ばす作用がある.骨端の関節面を覆う軟骨は,関節軟骨である.
○⑶ 文章通り.骨形成を促す因子には,力学的負荷の他に,たんぱく質,カルシウム,ビタミンDなどの栄養素の摂取などもある.
×⑷ 骨芽細胞は,骨形成を行う.一方で,骨吸収を行うのは,破骨細胞である.
×⑸ ビスホスホネート薬は,破骨細胞の活動を抑制し,骨吸収を抑制する.したがって,骨粗鬆症の治療に用いられる.
正解 : (3)