【解法の要点】
食物の生産から消費に至るまでの大まかな流れや環境問題との関係性について,専門用語を中心に整理しておこう.
【解説】
○⑴ 文章通り.生物濃縮は,生態系において,外界から取り込んだ栄養分や有害物質が食物連鎖の過程で,環境より高い濃度で生体内に蓄積する現象をいう.たとえば多くの動物で合成されないn-3系およびn-6系脂肪酸は,植物や植物プランクトンでは合成されるため,食物連鎖の過程で生物濃縮される.アザラシの肉にn-3系脂肪酸が多いのは,生物濃縮の1例である.
×⑵ 食品ロスが増加すると,食べ残しや食品廃棄により無駄に食材が捨てられることになり,環境負荷は増加する.
×⑶ フードマイレージは生産地から別の国に運搬する量(トン)に距離(km)を乗じて求める.地産地消が進めばフードマイレージは減少することが考えられる.一方で,食料の輸入拡大によってフードマイレージは増加する.
×⑷ トレーサビリティは traceとabilityを合わせた造語で,安全確保のために食品の流通ルートを追跡できるよう記録するシステムを意味する.異物混入や食中毒が発生した場合,流通の記録が残っていれば原因となる流通ルートを特定することが可能となる.その事により不具合のある流通を止め,別のルートから食品の安定的な供給が可能となる.輸入はそれ以前を確認できないことがあるためトレーサビリティは低下する.なお食品を安定的に入手できるようにすることも,食品安全の重要な課題である.
×⑸ フードバンクは企業や農家などで余った食材や,賞味期限やパッケージの問題によりまだ食べられるが店頭から撤去されてしまう食品を回収し,福祉施設などに無償で提供する活動のことをいう.災害時の対策では,これとは別に各自が約3日分の食材を備蓄しておくことが推奨されている.
正解 : (1)