【解法の要点】
油脂の化学的特性については頻出である.しっかり理解しておこう.
【解説】
×(1) ケン化価は,油脂の構成脂肪酸の平均分子量を示す指標であり,油脂1gのケン化に必要な水酸化カリウム(KOH)のmg数で表される.構成脂肪酸の平均分子量に逆比例するため,長鎖脂肪酸の多い油脂ほど値は小さくなる.
×(2) ヨウ素価は,油脂の構成脂肪酸の不飽和度を示す指標であり,油脂100gに付加されるヨウ素のg数で表される.ヨウ素は不飽和脂肪酸の二重結合に付加するため,油脂中の不飽和脂肪酸が多いほど,値は大きくなる.
◯(3) 文章通り.酸価は,油脂中の遊離脂肪酸量を示す指標であり,油脂1g中の遊離脂肪酸の中和に必要な水酸化カリウム(KOH)のmg数で表される.油脂の品質基準となる値で,精製された食用油脂では0.3以下である.このように低い値になる理由は,加工の過程で遊離脂肪酸が除去されるためだが,長期貯蔵や加熱によってトリグリセロールの加水分解や酸敗が起こると,酸価は大きくなる.
×(4) 油脂は酸化により,過酸化脂質が生成し,やがて遊離脂肪酸となり,ヒロドオキシ酸,カルボニル化合物などが生成し,屈折率が増加する.油脂の鑑定をチェックするのにも利用される.
×(5) 粘度(粘性)は,油脂の酸化により上昇する.これは,油脂の酸化によって,構成脂肪酸の不飽和度が低下するためである.なお,粘度を高めるほかの要因として,熱重合がある.
正解 : (3)