【解法の要点】
食品の水分に関する基礎問題であるため,しっかり理解しておこう.水分活性や緩慢凍結については,これまでにも何度も出題されている頻出事項であり,正解を選ぶのは比較的容易であろう
【解説】
○⑴ 文章通り.水分活性は,食品水分中に占める自由水の割合を示す指標である.したがって,食品の結合水が多くなり,自由水が少なくなると,水分活性は低下する.
×⑵ 微生物は,自由水を利用して増殖するため,水分活性が高くなるほど増殖しやすい.
×⑶ 脂質は,水分活性が0.3で酸化反応を最も受けにくい.なお,水分活性が0.3を下回ると,自由水が極端に少なく脂質と空気が触れやすくなるため, 酸化反応が起こりやすい.一方で,水分活性が0.3を上回ると,自由水が多いためにヒドロぺルオキシドなどの反応物が移動しやすくなるため,酸化反応が起こりやすい.
×⑷ 水から氷になると,水分子の熱運動が低下するため,水素結合によって結合する水分子の割合が増加する.なお,水素結合とは,-OH基や-NH基などの電気陰性度の高い元素に共有結合した水素原子が,近くにある他の官能基の持つ非共有電子対との間に作る弱い結合のことである.
×⑸ 緩慢凍結では,氷結晶が大きくなり,食品組織の破壊が進行するため,解凍時のドリップ量は多くなる.一方で,急速凍結では,氷結晶の成長が抑制され,食品組織の破壊も少ないため,解凍時のドリップ量は少なくなる.
正解 : (1)