【解法の要点】
血糖調節のメカニズムについては頻出である.関連する臓器や代謝経路などをしっかり覚えておこう.
【解説】
◯(1) 文章通り.インスリンは,血糖値の上昇により分泌が促進され,筋肉でグルコース輸送体(GLUT4)に作用して,グルコースの筋細胞内への取り込みを促進する.
×(2) グルカゴンは,主に糖新生や肝のグリコーゲン分解を促進して血糖を上昇させる.筋グリコーゲンの分解は,主にアドレナリンにより促進される.グルカゴンとアドレナリンはいずれもインスリン拮抗ホルモンであり,血糖値を上昇させる.
×(3) 組織重量あたりのグリコーゲン含量は,筋肉より肝臓の方が多い.ただし,組織の総重量は肝臓よりも筋肉の方が大きいため,組織全体でのグリコーゲン含量は筋肉の方が多い.
×(4) コリ回路とは,筋肉などで嫌気的に生じた乳酸を肝臓でグルコースに戻す経路のことであり,乳酸からグルコースが産生される.アミノ酸からグルコースが産生されるのはグルコース・アラニン回路であり,筋肉で生じたピルビン酸のアミノ基転移で生じたアラニンが,肝臓で再びピルビン酸となってグルコース産生に用いられる.
×(5) 糖新生の材料として利用されるのは,糖原性アミノ酸や乳酸などである.中性脂肪の構成要素であるグリセロールも糖新生の材料となるが,脂肪酸は糖新生の材料にならない.
正解 : (1)
【解法の要点】
血糖調節のメカニズムは,頻出事項である.関連する臓器や代謝経路,ホルモンなどを覚えておこう.なおヒトにおいて血糖値を下げるホルモンは,インスリン(およびインスリン分泌を促進するホルモン)だけである.
【解説】
×⑴ アドレナリンは,主にグリコーゲンの分解を促進することにより,血糖値を上昇させる.
×⑵ グルココルチコイドは,主に糖新生を促進することにより,血糖値を上昇させる.
×⑶ チロキシン(甲状腺ホルモン)は,腸管における糖の吸収を促進することなどにより,血糖値を上昇させる.
○⑷ 文章通り.インスリンは,脂肪細胞や骨格筋などにおいて,血中グルコースの細胞内への取り込みを促進し,血糖値を低下させる.
×⑸ 血糖値が低下すると,インスリン分泌が抑制され,骨格筋へのグルコースの取り込みが低下し,グルコース消費は抑制される.
正解 : (4)