【解法の要点】
食後および食間期の脂質代謝は頻出事項である.リポたんぱく質代謝や臓器間輸送とあわせて確認しておこう.
【解説】
×⑴ 食後には,肝臓におけるトリグリセリド合成が促進され,VLDLの形で血中に分泌されるため,血中のVLDL 濃度は上昇する.
×⑵,⑸ 食後には,脂肪組織でリポたんぱく質リパーゼが活性化し脂質の取り込みが促進されるため,血中の遊離脂肪酸濃度は低下する.一方で,空腹時には,ホルモン感受性リパーゼが活性化し,脂肪組織から遊離脂肪酸が放出されるため,血中の遊離脂肪酸は上昇する.
○⑶ 文章通り.食後,食事により摂取された脂質は肝臓に取り込まれ,トリアシルグリセロールの合成が亢進する.
×⑷ 食後,肝臓でケトン体の産生は,亢進しない.ケトン体の産生が亢進するのは,飢餓状態などのグルコースが不足した場合であり,脂肪酸のβ酸化により生じたアセチルCoAから生成される.
正解 : (3)
【解法の要点】
エネルギー代謝にかかわる栄養素の代謝は空腹時と食後で異なる.空腹時の脂質代謝は頻出事項であるため,食後の脂質代謝とともに,しっかり復習しておこう.
【解説】
×⑴,⑵ 空腹時には,脂肪組織においてホルモン感受性リパーゼの活性が上昇し,脂肪組織のトリグリセリドの分解が亢進する.なお,血中のリポたんぱく質のトリグリセリドを分解するリポたんぱく質リパーゼの活性は食後に上昇する.
×⑶ 空腹時には,肝臓の脂肪酸合成は抑えられている.なお,空腹時では肝臓における脂肪酸分解が促進され,エネルギー源として利用される.
×⑷ 空腹時に肝臓で合成されたケトン体は,肝臓では利用できず,肝臓以外の骨格筋や腎臓,脳などの臓器で利用される.
○⑸ 文章通り.空腹時の筋肉では,通常エネルギー源として利用されるグルコースが枯渇しているので,脂肪酸やアミノ酸もエネルギー源として利用される.
正解 : (5)