【解法の要点】
たんぱく質・アミノ酸代謝に関する総合問題である.窒素出納とアミノ酸炭素骨格の代謝については,特に国試頻出であるためしっかりと理解しておこう.
【解説】
×⑴ 窒素出納は動的平衡状態にあり,窒素出納は0となるが,平衡を保てないほどに供給が不足すれば,出納は負になる.
×⑵ たんぱく質の摂取量が増加すると,余剰のアミノ酸のアミノ基は代謝され, 尿素として排泄され,尿素排泄量は増加する.
×⑶ アルブミンは,肝臓で合成される.
×⑷ トリプトファンは,ナイアシンに変換される.その変換効率は,ナイアシン当量で1/60である.
○⑸ 文章通り.バリンは,スクシニルCoAからTCA回路に入り,糖新生を経てグルコースとなる.このように,グルコースになりうるアミノ酸のことを糖原性アミノ酸という.
正解 : (5)
【解法の要点】
たんぱく質の栄養価に関する基本的な問題である.生物学的評価法と化学的評価法のそれぞれについて,評価方法を理解しておこう.
【解説】
×(1) 食品たんぱく質の栄養価は,不可欠(必須)アミノ酸の価と消化吸収率で決まる.すなわち,アミノ酸の総量が多くても,アミノ酸価が低ければ,栄養価は低い.
×(2) アミノ酸価は,食品たんぱく質中の不可欠アミノ酸の組成と,理想的な不可欠アミノ酸量を示すアミノ酸評点パターンを用いて示される.
◯(3) 文章通り.たんぱく質の栄養価を示すアミノ酸価は,不可欠アミノ酸すなわち制限アミノ酸の組成で決まる.制限アミノ酸が複数ある食品に,第一制限アミノ酸のみを加えると,他の制限アミノ酸の不足の度合いが相対的に大きくなるため,アミノ酸のインバランスが生じ,かえって栄養価が低下することがある.
×(4) たんぱく質効率比(PER)は,体重増加量÷摂取たんぱく質量で算出される.窒素出納は,窒素の摂取量と損失量の差を表す.
×(5) 飢餓状態では,窒素の摂取量よりも損失量の方が多くなるため,窒素出納は負になる.
正解 : (3)
【解法の要点】
たんぱく質の栄養価に関する問題は頻出である.主要な生物学的評価法の算出法と,化学的評価法について正しく理解しておこう.
【解説】
×⑴ 無たんぱく質食摂取時にも,窒素の糞便中排泄がある.これを,代謝性糞中窒素といい,生物価などの算出に用いる.
×⑵ アミノ酸インバランスは,複数の制限アミノ酸がある食品に,1つの制限アミノ酸だけを補足することにより起こる.これにより,他の制限アミノ酸の要求量が増して,たんぱく質の利用効率は低下する.
×⑶ 正味たんぱく質利用率は,たんぱく質栄養価の生物学的評価法である.なお,化学的評価法には,アミノ酸価などがある.
○⑷ 文章通り.ほとんどの穀類の第一制限アミノ酸は,リシンである.ちなみに,そば(全粒粉)のアミノ酸スコアは100である.
×⑸ 卵白たんぱく質のアミノ酸価は,100であり,制限アミノ酸はない.そのため,卵白たんぱく質に対して,アミノ酸の補足効果は発揮されない.
正解 : (4)