【解法の要点】
ビタミンの生理機能や代謝に関する問題である.どの設問も基本的な内容であるため,しっかり理解しておこう.
【解説】
×(1) エネルギー代謝の補酵素としてはたらくのは,ビタミンB群である.ビタミンAは,暗闇でものを見るために必要なロドプシンの成分などとして,生体内で機能する.
×(2) ビタミンEは,抗酸化作用により不飽和脂肪酸の酸化を防ぐため,その必要量は,酸化されやすい不飽和脂肪酸の増加時に高まる.
×(3) ビタミンB₁などの水溶性ビタミンの余剰分は,尿中に排泄される.
×(4) 生体内の酸化還元反応に必要なビタミンは,抗酸化作用をもつビタミンEとビタミンCである.ビタミンB₆は,アミノ酸代謝における補酵素として必要である.
◯(5) 文章通り.ビオチンは,生卵白中のアビジンと結合するため,生卵白の摂取によりビオチンの吸収が阻害される.
正解 : (5)
【解法の要点】
水溶性ビタミンに関する基礎問題である.各水溶性ビタミンの特徴(構成成分,吸収,基本機能)を整理しておこう.
【解説】
×⑴ ビタミンB₂は,小腸上皮細胞において能動輸送で吸収される.内因子と結合して吸収されるのは,ビタミンB₁₂である.
×⑵ ナイアシンは,トリプトファンから合成される.転換効率は1/60である(ナイアシン当量の計算).
×⑶ 葉酸は,狭義には,p-アミノ安息香酸にプテリン環とグルタミン酸が結合したプテロイルモノグルタミン酸である.なお,コバルトを含む水溶性ビタミンは,ビタミンB₁₂ である.
×⑷ ビオチンは,補酵素としての機能をもつが,コエンザイムA(CoA)の構成成分ではない.コエンザイムAの構成成分となるのは,パントテン酸である.
○⑸ 文章通り.抗酸化作用をもつ還元型ビタミンCは,ほかの物質を還元することで酸化型ビタミンCとなるが,グルタチオンにより再び還元型ビタミンCとなる.一方で,ビタミンEは,一度ほかの物質を還元するとビタミンEラジカルとなり,抗酸化作用を失う.そのため,ビタミンCとビタミンEが共存すると,ビタミンCが,ビタミンEラジカルを還元し,ビタミンEへと変換する.
正解 : (5)
【解法の要点】
脂溶性ビタミンに関する基礎的な問題である.脂溶性ビタミンの吸収経路,主な機能,欠乏症および過剰症について整理しておこう.
【解説】
×⑴ 脂溶性ビタミンは,キロミクロン(カイロミクロン)の構成成分となり,リンパ管を経由して静脈に流れる.
◯⑵ 文章通り.レチノイン酸(ビタミンA)と1α,25-ジヒドロキシコレカルシフェロール(ビタミンD)は核内受容体に結合して,遺伝子発現を調節する.
×⑶ ビタミンDは,ヒトの皮膚に存在するプロビタミンD3に紫外線が当たることで合成される.腸内細菌が合成できる脂溶性ビタミンはビタミンKのみである.
×⑷ ビタミンEは抗酸化ビタミンのひとつであり,膜脂質の酸化を抑制する.
×⑸ ビタミンKは,血液凝固因子の産生に関わるビタミンである.
正解 : (2)