【解法の要点】
脱水を含め,水の出納に関する問題は頻出である.代謝水,不感蒸泄,不可避尿の意味や,高張性脱水と低張性脱水の原理などを正しく理解しておこう.
【解説】
×(1) 栄養素1 gあたりの代謝水は,脂質>糖質>たんぱく質の順で多い.これは,単位重量あたりに含まれる水素の物質量が脂質で最も多いためである.
×(2) 不可避尿量は,摂取した水分量に影響されない,代謝産物の排泄に必要な尿量である.
◯(3) 文章通り.不感蒸泄は,呼気や皮膚から無意識に絶えず失われる水分である.汗や尿を含まないため,電解質などの損失はなく,水のみが失われる.
×(4) 1日に必要な水分摂取の最低量は,不可避尿量と随意尿(可避尿)量に加え,不感蒸泄と糞便からの水損失量も含めた合計である.
×(5) 低張性脱水では,水よりもナトリウムなどの電解質が不足して血漿浸透圧が低下した状態にあるため,電解質を含む水を補給する必要がある.
正解 : (3)
【解法の要点】
水の出納に関する基本問題である.細胞内液と細胞外液の比率,代謝水,不感蒸泄,抗利尿ホルモン,各脱水の症状を正しく理解しておこう.
【解説】
×⑴ 成人男性において,血漿を含む細胞外液は,体水分量の約1/3である.血漿は,細胞外液の約1/4,つまり体水分量のうち10%以下を占める.
×⑵ 脂質1 gから生成される代謝水は,糖質より多い.ちなみに,糖質1 gから生成される代謝水は,0.56gであり,脂質1 gから生成される代謝水は1.07 gである.
×⑶ 不感蒸泄は,発汗を含まない呼気や皮膚から失われる水分のことをいう.
×⑷ 水分欠乏型脱水では,ナトリウム以上に水が失われるため,血漿浸透圧が高くなる.そのため,高張性脱水ともいう.
○⑸ 文章通り.バソプレシンは抗利尿ホルモンであり,体水分量が不足すると, 尿中への水分排泄を抑制する.
正解 : (5)