【解法の要点】
本問題は,改定前の「妊産婦のための食生活指針」について問うている.令和3(2021)年に厚生労働省は改定した「妊娠前からはじめる妊産婦のための食生活指針~妊娠前から,健康なからだづくりを~」を公表している.本設問の解説では改定前後の違いも合わせて示しているので,変更点などをしっかりと整理しておこう.
【解説】
○⑴ 文章通り.「妊産婦のための食生活指針」では,「妊娠前から,健康なからだづくりを」とし,妊娠期,授乳期のみならず妊娠前における女性も対象として,望ましい食生活を実現するための指針である.「妊娠前からはじめる妊産婦のための食生活指針」では,「妊娠前から,バランスのよい食事をしっかりとりましょう」という文言に変更され,主食,主菜,副菜,乳製品の取り方についても提言されている.
×⑵ 「妊娠前からはじめる妊産婦のための食生活指針」では,「不足しがちなビタミン・ミネラルを,「副菜」でたっぷりと」と示されている.その中で,妊娠を計画していたり,妊娠初期の人では,神経管閉鎖障害の発症リスク低減のために,食品だけではなく葉酸の栄養機能食品を利用することが勧められている.なお,改定前の「妊産婦のための食生活指針」でも,葉酸の摂取に関する情報提供は行われていたが,改定後の指針の方がサプリメントの活用について言及するなどして,より明確に示されている.
○⑶ 文章通り.改定前は,妊娠全期間を通しての推奨体重増加量および妊娠中期から末期における1週間あたりの推奨体重増加量が「妊娠期の至適体重増加チャート」として示されていた.一方で,「妊娠前からはじめる妊産婦のための食生活指針」では,妊娠時の望ましい体重増加量について,妊娠前の体格をもとに妊娠中の体重増加の目安を示しており,体格区分が3区分から4区分に変更された.
○⑷ 文章通り.「妊産婦のための食生活指針」・「妊娠前からはじめる妊産婦のための食生活指針」では,ともに「母乳育児も,バランスのよい食生活のなかで」とし,母乳が十分に分泌されるために,エネルギー量とともに,たんぱく質,カルシウム,鉄などの必要量が確保された食事になるようにと推奨されている.
○⑸ 文章通り.「妊産婦のための食生活指針」・「妊娠前からはじめる妊産婦のための食生活指針」では,ともに「たばことお酒の害から赤ちゃんを守りましょう」とし,受動喫煙がある環境では,小児呼吸器疾患や乳児突然死症候群の発症頻度が上昇することなどが明らかになっていることを示している.
正解 : (2)