【解法の要点】
思春期,妊娠期,更年期と,女性の一生を通しての内分泌系の変化は頻出である.各ライフステージの特徴をしっかり確認しておこう.
【解説】
×(1),(2) 更年期の女性では,エストロゲン分泌の低下に伴い,肝臓のLDL受容体の活性が低下し,血清LDL-コレステロール値の上昇がみられる.血清HDL-コレステロール値は緩やかに低下する.
◯(3) 文章通り.思春期前の黄体形成ホルモン(LH)値は低く,思春期後に徐々に増加して20代前半で分泌量はピークを迎える.卵巣などの機能低下に伴い閉経前後から急激に上昇する.
×(4) 卵胞刺激ホルモン(FSH)の分泌量は更年期以降増加し,視床下部-下垂体-卵巣系の機能失調が生じる.
×(5) 更年期の女性では,骨吸収の亢進がみられ,骨吸収が骨形成を上回ることで骨密度が低下する.
正解 : (3)
【解法の要点】
更年期女性でみられるホルモン分泌の変化やそれに伴う代謝の変化などを問う基礎的問題である.エストロゲンを中心にどのような生理的変化が起こるかをまとめて理解しておこう.
【解説】
×⑴,⑶ 更年期女性では,閉経により卵胞が減少し,血中エストロゲン値は低下する.すると,ネガティブフィードバックが起こり,血中黄体形成ホルモンや血中卵胞刺激ホルモン値が増加するが,エストロゲンを分泌する卵胞が少ないため,エストロゲンの分泌量が増加することはない.
○⑵ 文章通り.⑴および⑶と同様,更年期女性では,閉経により卵胞が減少するため,血中プロゲステロン値は減少する.
×⑷ 脂質代謝を抑制する作用があるエストロゲンの分泌量が低下している更年期では,血中LDL コレステロール値は上昇する.
×⑸ 骨吸収抑制作用があるエストロゲンの分泌量が低下している更年期では,骨密度の低下がみられる.
正解 : (2)