【解法の要点】
成長・発達・加齢に伴う身体的・生理的変化に関する問題である.いずれの選択肢も基本事項ばかりなので,しっかりと確認しておこう.
【解説】
×⑴ 体水分量に占める細胞外液の割合は,成人期より新生児期の方が大きい.体水分量は加齢に伴い減少するが,幼児期から成人期にかけては細胞外液が,成人期から高齢期にかけては細胞内液の割合が主に減少する.
×⑵ 胸腺重量は,12歳ころに最大となる.スキャモンの発育曲線によると,胸腺を含むリンパ型は,12歳ころまでに成人期の2倍近くまで成長し,思春期から成人期に向けて退縮する.なお,一般型,神経型,生殖器型は,おおよそ成人期で最大となる.
×⑶ 加齢に伴い腎機能が低下するため,糸球体濾過量は成人期より高齢期の方が小さい.
〇⑷ 文章通り.加齢に伴い塩味の閾値は上昇する(塩味を感じにくくなる)ため,高齢者では食事摂取量の低下や食塩の過剰摂取に注意が必要である.
×⑸ 加齢に伴い消化液分泌量が減少するため,唾液分泌量は,成人期より高齢期の方が少ない.したがって,高齢者では口腔内が乾燥しやすく,摂食・嚥下障害や発声障害,食欲の低下などが起こりやすい.
正解 : (4)
【解法の要点】
前問に続き高齢者の生理的機能に関する基礎問題である.高齢期と成人期の生理的機能の違いについては頻出問題であるため,しっかりと整理しておこう.
【解説】
×⑴ 高齢者では,味覚の鈍化により,塩味および甘味の閾値が上昇する.
◯⑵ 文章通り.高齢者では成人と比較して,食後(たんぱく質摂取後)の骨格筋などにおけるたんぱく質合成が低下するため,たんぱく質合成量は低下する.
×⑶ 高齢者では,胃酸などの消化液の分泌量および活性が低下するため,食品中のビタミンB₁₂ 吸収率は低下する.
×⑷ 腸管からのカルシウム吸収率は加齢とともに低下し,骨量や骨密度が減少する可能性がある.
×⑸ 高齢者では,腎血流量の低下や尿の濃縮機能低下が起こるなど,腎臓系の機能が低下する.
正解 : (2)
【解法の要点】
高齢期で多くみられるフレイル,サルコペニア,ロコモティブシンドロームの特徴について理解しておこう.サルコペニアは,筋肉量の減少を必須項目とし,さらに筋力の低下あるいは身体機能の低下のいずれかを伴う場合に診断される.
【解説】
〇⑴ 文章通り.サルコペニアでは,筋力の評価指標として握力が測定される.
×⑵ サルコペニアにおいて,歩行速度は遅くなる.サルコペニアの診断では,身体機能の評価指標として歩行速度が測定される.
〇⑶,⑷ 文章通り.サルコペニアにおける筋肉量減少の要因には,加齢,活動量の低下,臓器不全や炎症性疾患,悪性腫瘍,内分泌疾患などの疾患,たんぱく質・ビタミンD不足などの低栄養がある.
〇⑸ 文章通り.サルコペニアの原因には,ベット上安静や不活発な生活習慣など活動の低下に関するものがある.そのため,予防には,高い身体活動および1日の活動時間を多くすることが推奨されている.
正解 : (2)