【解法の要点】
意思決定バランスは,トランスセオレティカルモデルにおける「自己の再評価」の重要な概念であり,国試の頻出事項である.行動・変化の結果としてのメリットとデメリットを天秤にかけ,メリットが上回ると判断した場合に,人は行動を起こしやすいというのがポイントである.
【解説】
◯(1) 「先生に褒められる」というメリットについての発言であり,正しい.
×(2) 「給食の献立が気になる」というのは,A子さんの関心についての発言である.給食を完食することによるメリットやデメリットについては触れられていないため,意思決定バランスに関する発言ではない.
◯(3) 「元気になる」というメリットについての発言であり,正しい.
◯(4) 「気分が悪くなる」というデメリットについての発言であり,正しい.
◯(5) 「友達の目が気になる」というデメリットについての発言であり,正しい.
正解 : (2)
【解法の要点】
行動変容技法については頻出である.実際の具体例と合わせて確認しよう.
【解説】
×⑴ 行動目標を管理するために目につくところに貼って宣言する方法は,目標宣言にあたる.なお,ソーシャルスキルトレーニングは,社会におけるさまざまな場面を想定して上手な対人交流の技術を身につける方法である.
×⑵ 食べすぎないよう環境面から調整する方法は,刺激統制である.
○⑶ 正しい組み合わせ.不合理な認知を変えるために,自分自身に励ましの言葉を伝える方法は認知再構成である.
×⑷ 問題行動をほかの行動に置き換える方法であり,行動置換である.ストレスマネジメントは,行動変容に伴い生じるストレスを軽減・緩和させ,前向きな気持ちを維持する方法である.
×⑸ 自分に褒美を与えて行動の刺激を高める方法はオペラント強化法であり,自己強化にあたる.
正解 : (3)
【解法の要点】
「コーピング」とは,ストレスにうまく対処しようとすることをいう.コーピングの方法には,ストレッサーとなっている環境や状況そのものにはたらきかけたり,その問題を解決するために具体的に何かを行う「問題焦点コーピング」と,ストレッサーに対する感じ方や考え方を変える「情動焦点コーピング」の2つがある.
【解説】
×(1) 同僚から話を聞くことは,暴飲暴食を抑えるための具体的な行動のヒントを得ようとしているため,問題焦点コーピングにあたる.
×(2) 気晴らしに趣味の時間をもつことは,前向きな気持ちに切り替えようとしているため,情動焦点コーピングにあたる.
×(3) 食べ過ぎてしまう原因を探ることは,暴飲暴食を抑える具体的な行動につなげようとしているため,問題焦点コーピングにあたる.
×(4) 職場以外で仕事のことを考えないようにすることは,後ろ向きな気持ちにならないようにしているため,情動焦点コーピングにあたる.
◯(5) 家族に悩みを聞いてもらうことは,仕事の忙しさに対する後ろ向きな気持ちを和らげようとしているため,情動焦点コーピングにあたり,正しい.
正解 : (5)
【解法の要点】
ソーシャルスキルトレーニングとは,人との交流により生じる問題を解決するために,場面を想定して社会的スキルを身につける学習技法である.
【解説】
×⑴ 不健康な行動が起きそうなときに,別の他の行動に置き換える方法は,行動置換にあたる.
×⑵ 問題行動を我慢する方法は,反応妨害法にあたる.
○⑶ 問題が生じた場面における対応や言動,また自分の感情や考えの表現方法を身に着けることは,ソーシャルスキルトレーニングとして正しい.
×⑷ 行動変容によるメリットとデメリットを考える方法は,意思決定バランスにあたる.
×⑸ 行動変容に伴い生じるストレスを軽減・緩和させる方法は,ストレスマネジメントにあたる.
正解 : (3)