【解法の要点】
栄養ケア・マネジメントの一連の流れや内容についてはしばしば出題があるため,しっかりおさえておこう.
【解説】
×(1) 栄養スクリーニングでは,侵襲性が低いことが求められる.そのほか,スクリーニングには,簡便性や有効性が高いことなどが求められる.
◯(2) 文章通り.栄養アセスメントでは,身体状況,臨床検査値,食事摂取状況,環境要因などの栄養に関連するさまざまな情報から栄養状態を評価・判定する.
×(3) 栄養診断では,疾病を診断するのではなく,あくまでも患者の栄養状態を診断する.
×(4) 栄養ケア計画では,緊急性や重要性の高いものから優先して目標を設定する.
×(5) モニタリングは,最終的な評価ではなく,栄養状態が改善できているかを,計画実施中に定期的に評価するものである.モニタリングや最終評価の結果から,必要に応じて栄養ケア計画の再検討を行う.
正解 : (2)
【解法の要点】
臨床検査値の各指標の半減期は,過去のいつの時点の栄養状態を評価しているか,また栄養療法によるモニタリングの時期の決定においても重要である.たんぱく質の指標をはじめ代表的な検査値の半減期をまとめておこう.
【解説】
×⑴ レチノール結合たんぱく質の半減期は,0.4 ~ 0.7日である.
×⑵ トランスサイレチンの半減期は,2 ~ 3日である.
×⑶ トランスフェリンの半減期は,8 ~ 10日である.レチノール結合たんぱく質,トランスサイレチン,トランスフェリンは,アルブミンと比較して半減期が短く,たんぱく代謝の鋭敏な指標として栄養状態の改善や悪化を早期に知ることができる.動的栄養アセスメントの指標となる.
○⑷ 正しい.半減期は,17 ~ 21日で,長期間の栄養状態低下時の指標となる.
×⑸ ヘモグロビンの半減期は,60 ~ 90日である.ヘモグロビンは,貧血や赤血球増加の指標として用いられる.
正解 : (4)
【解法の要点】
栄養アセスメントの指標である臨床診査,身体計測,臨床検査,食事摂取調査の特徴を理解する.各指標の意義,具体的な方法,評価について学習しよう.
【解説】
×⑴ 食事記録法による食事調査では,肥満度が高い者ほど過少申告しやすい.一般的に,過大申告より過小申告が起こりやすい.
×⑵ 内臓脂肪面積は,ウエスト周囲径で評価する.ウエスト周囲径はCT(computed tomography,コンピュータ断層撮影)による内臓脂肪量と相関している.そのため,メタボリックシンドロームの診断基準の必須条件として用いられている.肩甲骨下部皮下脂肪厚は,上腕三頭筋皮下脂肪厚とあわせて測定し,計算式により体脂肪率や体脂肪量を算出することができる.
×⑶ 上腕筋面積(AMA)は,上腕周囲長(AC)と上腕三頭筋皮下脂肪厚(TSF)から計算される上腕筋囲(AMC)を用いて算出する.AMA(cm²)=[AMC(cm)]² ÷ 4 πAMC(cm)= AC(cm)-π× TSF(cm)となる.
○⑷ 文章通り.クレアチニンは,骨格筋にクレアチンリン酸として存在する.健常人では,クレアチニンの産生は,骨格筋肉量と比例する.そのため,尿中クレアチニン排泄量は,骨格筋肉量の推定に用いることができる.
×⑸ 窒素出納が負のときは,体たんぱく質が消耗している.正の場合には,体たんぱく質量の蓄積,増量を示す.
正解 : (4)
【解法の要点】
解答には,胃潰瘍で出血を起こす可能性があるという病状を知っているだけではなく,病態を考えた上で,栄養学を含めた専門基礎の知識を用いる必要がある.また,各検査の意味を理解しているかも問われている.
【解説】
×⑴ 消化管出血では貧血が生じる可能性があり,この場合,正球性正色素性となり平均赤血球容積(MCV)の増加は認めない.大球性貧血では,MCV が増加する.
×⑵ 消化管出血により貧血が生じれば,血液中の赤血球容積の割合であるヘマトクリットは低下する.
○⑶ 正しい. 胃潰瘍で出血を起こすと,大量の血液が消化管内で代謝・吸収されることになり,たんぱく質負荷となる.また,腸内細菌により血液・血漿成分が分解され,アンモニアが生成される可能性も指摘されている.このため,尿素窒素は増加する.
×⑷ HbA1cは1 〜 2カ月の血糖コントロール状況の指標であり,糖尿病など血糖コントロール不良の場合に増加する.
×⑸ PSA は前立腺がんのマーカーである.
正解 : (3)