【解法の要点】
栄養補給法については頻出である.経腸栄養剤の種類や投与の特徴を丁寧に学習しよう.
【解説】
×(1) 半消化態栄養剤は,脂質を含む.なお,製品により脂質量はさまざまである.
×(2) 成分栄養剤の窒素源は,すべて合成アミノ酸である.
×(3) 半固形タイプの栄養剤は,胃瘻に使用できる.半固形タイプの栄養剤の使用は,胃・食道の逆流の減少,下痢の予防,食後高血糖の改善に役立つ.
◯(4) 文章通り.経腸栄養が禁忌で,静脈栄養の絶対適応となるのは,汎発性腹膜炎,腸閉塞,難治性嘔吐,麻痺性イレウス,難治性下痢,活動性の消化管出血などである.
×(5) 下痢が生じた場合は,経腸栄養剤の投与速度を遅くする.そのほか,浸透圧,濃度,温度などを確認する.重症時には中止する.
正解 : (4)
【解法の要点】
経腸栄養剤には多くの種類があり,患者の状態にあわせて,組成,濃度,粘度などが適切なものを選択しなければ,合併症をきたす要因ともなる.特に,消化吸収の視点で各栄養剤の特徴を確認しておこう.
【解説】
×⑴,⑶ 成分栄養剤および消化態栄養剤の糖質は,デキストリンである.選択肢⑸を参照.
×⑵ 成分栄養剤の窒素源は,すべて合成L型アミノ酸である.
×⑷ 消化態栄養剤の窒素源はアミノ酸,ジペプチドトリペプチドからなり,たんぱく質を含まない.なお,窒素源としてたんぱく質を含むのは,天然濃厚流動食である.
◯⑸ 半消化態栄養剤の主な糖質は,デキストリンである.デキストリンは,カロリーを得やすい多糖類であり,水溶性で消化されやすく,浸透圧も低いことから,経腸栄養剤の主な糖質源として利用されている.
正解 : (5)
【解法の要点】
静脈栄養法に関する内容は国試においておさえておくべき重要項目の1つである.静脈栄養法の目的,適応疾患,輸液剤の種類と内容,投与方法,管理,合併症とその対応について丁寧に学習しよう.
【解説】
×(1) 末梢静脈栄養法では,脂肪乳剤と組合せても1日に1000~1300 kcalが投与の限界である.
×(2) 末梢静脈栄養法で用いる輸液のアミノ酸濃度は3%前後である.
×(3) 中心静脈栄養法は,2週間以上の長期施行が可能である.
◯(4) 文章通り.中心静脈栄養法の基本輸液剤は,Na,K,Cl,Mg,Caなどの電解質,亜鉛を含む糖濃度15%以上の高カロリー輸液である.
×(5) 中心静脈栄養法は,在宅でも実施可能である.
正解 : (4)
【解法の要点】
静脈栄養は,末梢静脈栄養と中心静脈栄養に分けられる.それぞれの適応と投与ルート,投与方法,輸液の種類と特徴,副作用,合併症をまとめよう.国試では,輸液の種類と特徴が頻出である.
【解説】
×⑴ 1日に1,200 kcal程度の投与が限界である.
×⑵ 一般的にアミノ酸濃度は3%程度である.
×⑶ 脂肪乳剤は,0.1 g/kg標準体重/時以下で投与する.これは,脂肪乳剤の人工脂肪粒子が効率よくリポたんぱく化され,加水分解される投与速度の上限を,トリグリセリドに換算した数値である.
×⑷ 一般的に,末梢静脈栄養法で投与可能なブドウ糖濃度は10%が限界とされる.糖質濃度が7.5%程度で電解質やアミノ酸,ビタミンB₁を含む製剤が使用される.ブドウ糖液が10%を超えると静脈炎発症頻度も高くなる.
○⑸ 文章通り.末梢静脈を経由して投与できる製剤の浸透圧は900 mOsm/Lが限度とされている.浸透圧が高いと血栓静脈炎の原因となる.浸透圧を下げるために脂肪乳剤を併用することは有用である.
正解 : (5)