【解法の要点】
神経性やせ症については2年に1問程度出題されている.好発年齢や過食行動,月経異常などの特徴について十分理解しておこう.
【解説】
×(1) 神経性やせ症ではエネルギー消費が抑制されるため,血清トリヨードサイロニン(T₃)値が上昇することはない.T₃が上昇することで有名なのは,甲状腺機能亢進症である.
×(2) 神経性やせ症では,摂取量不足や嘔吐から低カリウム血症をきたすことがある.高カリウム血症は,腎不全などでみられる.
×(3) 神経性やせ症では甲状腺機能は低下するので,頻脈ではなく徐脈がみられる.頻脈がみられるのは,甲状腺機能亢進症や貧血である.
◯(4) 正しい.不食,過食,隠れ食いなどの食行動異常がみられる.
×(5) 神経性やせ症では,活動量は増加することが多い.活動量の低下は,甲状腺機能低下症などでみられる.
正解 : (4)
【解法の要点】
長期絶食状態の患者に対して栄養投与する際には,リフィーディング症候群に対する留意が必要である.そのため,できるだけ少量のエネルギー投与からはじめて漸増していく.
【解説】
〇⑴ 神経性やせ症など長期絶食状態の患者に投与すべきエネルギー量は,一律に決められているものではないが,リフィーディング症候群を合併しないように,初期投与のエネルギー量はできるだけ少量とする必要がある.たとえば,「静脈経腸栄養ガイドライン第3版」(日本静脈経腸栄養学会)では,原則として,推定必要エネルギー量の半量以下から開始すべきとしている.これに従うと,23 歳女性の推定エネルギー必要量は,身体活動レベルがⅡの場合で1,950 kcal であるため,開始時のエネルギー量としては,975 kcal/ 日以下,つまり選択肢の中では500 kcal/ 日が最も適正な量と考えられる.
×⑵~⑷ 選択肢⑴の解説を参照する.
正解 : (1)