【解法の要点】
法律と施策の組合せが問われている.「健康増進法」については特に頻出である.公衆栄養に関する法律の内容を確認しておこう.
【解説】
◯(1) 正しい組合せ.国民の生活習慣と,生活習慣病との相関を明らかにするために,国,地方公共団体は発生状況の把握に務めなければならないことが,「健康増進法」第16条に定められている.
×(2) 乳幼児の健康診査の実施については,「母子保健法」第12条に定められており,実施主体は市町村とされている.「医療法」には,医療提供体制や医療安全の確保などの事項が定められている.
×(3) 地域支援事業の実施については,「介護保険法」第115条に定められている.「高齢者の医療の確保に関する法律」には,後期高齢者医療制度や,特定健診・特定保健指導などの事項が定められている.
×(4) 特別用途表示の許可については,「健康増進法」第26条に定められている.「食料・農業・農村基本法」には,食料の安定供給の確保や農業の持続的な発展などに関する事項が定められている.
×(5) 食品ロス統計調査は,「統計法」第19条に基づく一般統計調査の1つとして実施される,世帯および外食産業を対象とした調査である.なお,平成27年度を最後に調査は終了した.「学校給食法」には,学校給食栄養管理者や学校給食実施基準などの事項が定められている.
正解 : (1)
【解法の要点】
「健康増進法」に関する基本的な問題である.「健康増進法」は,「栄養士法」や「食育基本法」などとともに,管理栄養士業務に関わる重要な法律の1つである.
【解説】
×⑴ 市町村保健センターの設置については,「地域保健法」第18条に定められている.
○⑵ 正しい.市町村健康増進計画については「健康増進法」第8条で「都道府県は都道府県健康増進計画を定め,市町村は市町村健康増進計画を定めるよう努めること」と規定されている.
×⑶ 市町村食育推進計画の策定については「食育基本法」第18条に定められている.
×⑷ 特定保健指導の実施については,「高齢者の医療の確保に関する法律(高齢者医療確保法)」第24条に定められている.
○⑸ 正しい.生活習慣病の発生状況の把握については,「健康増進法」第16条に定められている.
正解 : (2),(5)
【解法の要点】
公衆栄養活動は,都道府県,保健所設置市および特別区,市町村の行政レベルに分けられる.「健康増進法」や「地域保健法」といった関連法や「地域における行政栄養士による健康づくり及び栄養・食生活の改善の基本指針について」(健が発0329第4号)を参考に,各活動の実施者がどの行政レベルにあたるかを確認しておこう.
【解説】
○⑴ 正しい.地域の栄養改善業務の企画調整といった,地域的かつ一般的なサービスは,市町村が実施する公衆栄養活動に含まれる.
○⑵ 正しい.地域住民に対する身近な対人サービスは,市町村保健センターが実施する公衆栄養活動に含まれる.
×⑶ 誤り.行政栄養士業務指針の中に「特定給食施設に対する指導」は食を通じた社会環境の整備の促進を目指す項目として都道府県,保健所設置市および特別区には含まれているが,市町村の業務としては含まれていない.
○⑷ 正しい.食生活改善推進員の育成は,「食を通じた社会環境の整備の促進:食育推進ネットワークの構築」として,都道府県には含まれないが保健所設置市および特別区および,市町村が実施する公衆栄養活動に含まれる.
○⑸ 正しい.健康危機管理への対応としては,災害時,食中毒,感染症,飲料水汚染などの飲食に関する健康危機に対して,住民へ適切に情報を周知し,支援体制の整備を図る必要があり,都道府県,保健所設置市および特別区,市町村のすべてが実施する公衆栄養活動に含まれる.
正解 : (3)
【解法の要点】
日本における栄養施策は,すべて法律に基づいて実施されており,「健康増進法」は「健康日本21」の根拠法令として,重要な法律のひとつである.栄養施策の根拠法令および実施者については頻出であるため,しっかりと確認しておこう.
【解説】
×⑴ 国民の健康増進の総合的な推進を図るための基本方針は,厚生労働大臣が定める.(「健康増進法」第7条)
×⑵ 特別用途表示については,内閣総理大臣の許可を受けなければならない.(「健康増進法」第43条)
〇⑶ 厚生労働大臣は,食事摂取基準を定めている.(「健康増進法施行規則」第16 条の2)
×⑷ 「国民健康・栄養調査」の調査員は,医師,管理栄養士,保健師その他の者のうちから,毎年,都道府県知事が任命する.(「健康増進法施行規則」第3条)
×⑸ 栄養指導員は,給食施設への指導および栄養指導を行うが,都道府県知事が任命する.(「健康増進法施行規則」第19条)
正解 : (3)