【解法の要点】
食事調査に関わる誤差の種類とその特徴,影響を把握しておく.
【解説】
◯(1) 文章通り.調査人数が多いほど,測定された平均値は母集団の平均値に近づく.
×(2) 一般的に,食事摂取量の日間変動の程度は,高齢者が若年者より小さい.
×(3) 季節変動は,偶然生じる偶然誤差ではなく,系統的に生じる系統誤差に含まれる.季節変動の例として,日本人集団におけるビタミンCの平均摂取量は春よりも秋で多いことが報告されている.これは,季節により旬の農作物が異なることなどに影響するためである.
×(4) 過小申告は,食事摂取量を実際よりも少なく申告することであり,系統誤差に含まれる.一般に,食事調査では,申告漏れなどの理由により,エネルギー摂取量が過小申告されやすい.
×(5) 過小申告の程度は,BMIが大きい者ほど大きいことが報告されている.
正解 : (1)
【解法の要点】
食事調査の精度と妥当性に関する問題である.変動と誤差の種類をその特徴や精度や妥当性に与える影響と合わせて把握しておこう(精度という用語は,厳密には再現性を示すが,出題者の意図は妥当性を意味していると推測される).
【解説】
×⑴ 過小申告は系統誤差であるため,調査日数を増やしても精度に影響しない.なお,偶然誤差は,調査日数を増やすことで精度を高めることができる.
×⑵ 季節変動は個人内変動であるため,対象者の人数ではなく,各対象者の調査日数を増やせば影響が小さくなる.
〇⑶ 文章通り.摂取量の平均値の標準誤差は,「摂取量の標準偏差/対象人数の平方根」で算出される.したがって,対象人数が多くなれば小さくなる.
×⑷ 集団の摂取量の分布(変動)は,主に個人内と個人間の変動で成り立っている.個人内変動の影響を小さくするために調査日数を増やせば,集団摂取量の変動も小さくなる.逆に,「国民健康・栄養調査」のように食事日数が1日の場合,集団の摂取量分布は広くなる(ただし,平均値は変わらない).
×⑸ 日間変動の大きさは,栄養素の種類によって大きく異なる.一般に,エネルギー産生栄養素など多くの食品に含まれている栄養素では小さいが,微量栄養素は大きい.特定の食品に多量に含まれているような栄養素(例:レチノール)では特に大きい.
正解 : (3)