【解法の要点】
糖質・脂質代謝については,毎年のように出題があるので,しっかり理解しておこう.
【解説】
×⑴ クエン酸回路では,糖や脂質,アミノ酸代謝により生成されたアセチルCoAを利用して,エネルギーを生み出す.糖新生は,糖質以外の栄養素からグルコースを生成する経路のことである.
○⑵ 文章通り.グルカゴンは肝臓におけるグリコーゲン分解や,糖新生を促進し,血糖の補給を促すホルモンである.
×⑶ 赤血球は,ミトコンドリアをもたないため,脂肪酸などのTCA回路を経てエネルギー源となる物質を利用できない.赤血球がエネルギー源として利用することができるのは,グルコースである.
×⑷ HMG-CoA還元酵素は,コレステロール合成における律速酵素である.なお,脂肪酸合成における律速酵素は,アセチルCoAカルボキシラーゼである.
×⑸ コレステロールエステル転送タンパク質(CETP)は,HDLから他のリポタンパク質へ,トリグリセリドと交換にコレステロールエステルを受け渡す役割がある.コレステロールをエステル化するのは,レシチンアシルトランスフェラーゼ(LCAT)である.
正解 : (2)
【解法の要点】
アミノ酸・糖質代謝に関する問題である.糖原性アミノ酸やグリコーゲン代謝は頻出事項であるので,正確に理解しておこう.
【解説】
×⑴ アスパラギン酸は,アミノ基転移反応によりオキサロ酢酸となる.アミノ基転移反応によってピルビン酸となるのはアラニンである.
×⑵ ロイシンは,ケトン体へと変換されるケト原性アミノ酸である.そのほか,ケト原性のみを有するアミノ酸には,リシンがあり,ケト原性と糖原性両方の性質を有するものにトリプトファン,フェニルアラニン,チロシン,イソロイシンがある.なお,糖原性アミノ酸は,グルコースやグリコーゲンに変換されるアミノ酸であり,アラニン,アスパラギン,グルタミンなどがある.
×⑶ ペントースリン酸回路は,細胞質に存在する.なお,TCAサイクルなどはミトコンドリアに存在する.
×⑷ グルコース-6-リン酸を加水分解してグルコースを生成するグルコース-6ホスファターゼは,肝臓と腎臓に存在するが,筋肉には存在しない.そのため,筋肉ではグリコーゲン分解によって生じたグルコース-6-リン酸をそのまま解糖系で利用する.
○⑸ 文章通り.グリコーゲンから生じたグルコース-1-リン酸が,グルコース -6リン酸となる.
正解 : (5)
【解法の要点】
食欲・消化・代謝に関わるホルモンについては比較的出題頻度が高い.問題はいずれも基礎的な事項であるので,問われている内容を含め,それぞれのホルモンを分泌部位や作用を整理しておこう.
【解説】
×⑴ グルカゴンの主な作用は血糖値の上昇である食後には,膵臓から分泌され,グリコーゲン分解や糖新生を促進することにより血糖値を上昇させる.
×⑵ インスリンの主な作用は血糖値の低下である.食後には,膵臓から分泌され,筋肉でのブドウ糖の取り込み促進や,肝臓からの糖放出の抑制を介して血糖値を低下させる.
×⑶ 貯蔵できるグリコーゲン量を比較すると,単位重量あたりでは筋肉より肝臓の方が多く,食後には肝臓でのグリコーゲン貯蔵量は増加する.ただし全身では体重に占める筋肉重量の割合の方が大きいため,貯蔵できる総量は肝臓より筋肉の方が多い.
◯⑷ 文章通り.空腹時にはホルモン感受性リパーゼの活性が上昇してトリグリセリドのグリセロールと脂肪酸への分解が亢進する.分解で生じたグリセロールは糖新生に利用される.
×⑸ 無酸素運動時には筋内で乳酸が産生される.生じた乳酸は肝臓に送られピルビン酸となり,糖新生を介してグルコースとなる.この代謝回路をコリ回路と呼ぶ.グルコース・アラニン回路では,アミノ酸であるアラニンが脱アミノ化され,糖新生を経てグルコースが生成される.
正解 : (4)