【解法の要点】
脂肪酸に関する基礎的な問題である.脂肪酸の分類と脂肪酸代謝はしっかりと確認しておこう.
【解説】
×⑴ ビタミンB₁の必要量が増加するのは,糖質の利用が高まるときである.一方で,脂肪酸の利用が高まると,アセチルCoA合成酵素の補酵素であるパントテン酸や脂肪酸合成酵素の補酵素であるNADPHの材料のナイアシンなどの必要量が増加する.
×⑵ 飽和脂肪酸であるパルミチン酸(C16:0)は生体内で合成できるので,必須脂肪酸ではない.必須脂肪酸は生体内で合成できない多価不飽和脂肪酸のことで,リノール酸(C18:2)とα-リノレン酸(C18:3)などを指す.
×⑶ エイコサペンタエン酸(EPA)は,α-リノレン酸から合成される.リノール酸から合成されるのはアラキドン酸である.
○⑷ 文章通り.エイコサノイドは,炭素数20の脂肪酸であるアラキドン酸やエイコサペンタエン酸(EPA)から合成される生理活性物質の総称である.
×⑸ α-リノレン酸(C18:3n-3)は,n-3系脂肪酸である.n-6系脂肪酸には,リノール酸(C18:2)や,それから合成されるアラキドン酸(C20:4)などがある.
正解 : (4)
【解法の要点】
コレステロール代謝および胆汁酸代謝に関する基本的な問題である.しっかり内容を確認しておこう.
【解説】
×⑴ コレステロールは,生体内で分解できず,エネルギー源として利用できない.
×⑵ コレステロールは,ステロイドホルモン(エストロゲン,副腎皮質ホルモンなど)の原料となる.甲状腺ホルモンの材料となるのはヨウ素である.
×⑶ コレステロールの合成量は,食事性コレステロールの量により調整されている.
○⑷ 文章通り.肝臓でコレステロールから産生された一次胆汁酸は,大腸で腸内細菌によって二次胆汁酸に代謝され,糞便中に排泄される.
×⑸ 胆汁酸は,大部分が回腸で再吸収される.
正解 : (4)