【解法の要点】
胃食道逆流症の栄養管理は頻出である.胃食道逆流症の食事療法では,症状悪化を防ぐために,胃酸分泌を増やさないこと,下部括約筋(LES)の弛緩予防,食道粘膜を刺激しないことがポイントである.
【解説】
×⑴ 胃食道逆流症では,胃酸分泌を抑えるために,過食を控え,少量頻回食とすることが症状改善に有利と考えられる.
×⑵ 胃食道逆流症では,下部括約筋の機能低下を防ぐため,高脂肪食は控える.一般的な食事では,脂質の摂取エネルギー比率は20 〜 30% Eであり,脂質35% Eは高脂肪食である.
×⑶ 胃食道逆流症では,食事の逆流を防ぐべきであり,食直後に就寝し横になる体勢を取ることは,症状を悪化させる可能性がある.
×⑷ 仰臥位とは,仰向けの状態のことである.食事の逆流を防ぐことができる
ため,胃食道逆流症の改善には少し体を起こした頭側挙上が有利である.
○⑸ 文章通り.胃瘻における胃食道逆流症では半固形タイプの栄養剤が用いられる.半固形タイプの栄養剤は,胃壁の伸展を促し,消化管ホルモン分泌や胃の蠕動運動を惹起するため,胃食道逆流の抑制に有効な場合がある.
正解 : (5)
【解法の要点】
肝・胆・膵に関する基本的な問題である.各疾患の病態について理解しておこう.
【解説】
×⑴ 脂肪肝では,肝細胞内に中性脂肪が過剰に蓄積する.
○⑵ 文章通り.非アルコール性脂肪肝炎(NASH)では,内臓脂肪蓄積に伴いインスリン抵抗性増大がみられる.
×⑶ 急性胆嚢炎を含む炎症性疾患では,血清CRP(C反応性たんぱく質)値が増加する.
×⑷ 急性膵炎では,膵酵素が活性化され,膵臓および周囲組織が自己消化される.したがって,急性膵炎急性期では,血中および尿中アミラーゼ値は上昇する.
×⑸ 慢性膵炎非代償期では,膵内分泌・外分泌能ともに障害される.したがって,インスリン分泌だけでなくグルカゴン分泌も低下する.
正解 : (2)
【解法の要点】
消化器は栄養と代謝に深く関与する.その病態により,栄養療法は異なる.この設問では各臓器のはたらきと栄養素の関連に対する知識が必要となる.
【解説】
×⑴ 胃食道逆流症は胃酸を含む胃内容物が食道に逆流することで生じる.LES圧低下や胃酸分泌の亢進などが原因となるため,食事療法では,甘いもの,脂肪分の多い食事,刺激の強い食べ物などの量への注意が必要である.カリウムを制限する必要はない
×⑵ たんぱく漏出性胃腸症は消化管粘膜からの血漿たんぱく質,特にアルブミンの胃腸管腔内への異常漏出によって起こる低たんぱく質血症を主徴とする疾患である.食事療法では,低脂肪で高たんぱく質の食品を摂ることを基本とする.カルシウムを制限する必要はない.
〇⑶ 正しい組合せ.慢性膵炎は,膵臓の外分泌・内分泌機能が低下していく進行性の疾患であり,大量のアルコール摂取が原因となることが多い.代償期では,膵外分泌刺激作用の最も強い脂肪制限が基本となる.また,膵臓を刺激する香辛料は避け,炭水化物中心の食事とする.
×⑷ 胆石症は胆嚢あるいは胆管の中で胆石が停滞することにより生じる炎症である.脂質の摂取により胆嚢の収縮が引き起こされ,停滞している胆石によって胆嚢内の圧力が上がり,痛みを生じることが多いため,食事療法としては脂質制限が重要である.
×⑸ 過敏性腸症候群は,大腸に腫瘍や炎症など症状の原因となるような病気がないにもかかわらず,便通異常(下痢,便秘)や腹痛,腹部膨満感がみられる消化器疾患であり,ストレスなど精神的な因子が原因であることが多い.食事療法としては規則正しい食生活を基本とし,腸管運動を亢進する不溶性食物繊維,冷たい飲み物,辛味の強い香辛料,炭酸飲料,カフェインなどの量に注意が必要となる.たんぱく質は直接関連がない.
正解 : (3)