【解法の要点】
腎臓の解剖と生理は，国試でも毎年のように問われる頻出事項である．糸球体や尿細管各部位のはたらき，尿細管に作用するホルモン（アルドステロン・バソプレシン）についてしっかりと確認しておこう．
【解説】
×⑴ 原尿は，腎臓に流れ込んできた血液が，糸球体で濾過されることで生成される．
×⑵ 糸球体に流入する血液は，動脈血である．糸球体に入る血管は輸入細動脈であり，出て行く血管は輸出細動脈である．
×⑶ アルドステロンは，腎尿細管（遠位尿細管と集合管）に作用し，ナトリウムの再吸収と，カリウムおよび酸の分泌を促進する．
○⑷ 文章通り．バソプレシンは，集合管に作用し，水の再吸収を促進する．
×⑸ 腎血流量は，心拍出量（成人で4 ～ 5 L/ 分）の約20～25％であり，約800～1200 mL/分とされる．糸球体濾過量（eGFR）は，健常人では100 mL/分/1.73 m²前後である．つまり，腎血流量の約10％が糸球体濾過量となる．
正解 : (4)
【解法の要点】
腎臓の構造と生理機能に関連づけて，レニン・アンジオテンシン系（特にアルドステロン）とバソプレシンなどのホルモンの腎臓における作用をしっかりと確認しておこう．
【解説】
△⑴ 解剖学的にはネフロンとは腎小体，近位尿細管，ヘンレループ，遠位尿細管で構成され，集合管に合流する．発生学的にネフロンと集合管は，由来が異なるからであるが，生理的にはネフロンと集合管は相互に関連して機能する．そのため，ネフロンに含めて記載・説明されることも多い．本書では基本的に厚生労働省の発表する正答に準じるが，明確に×といいがたいため， 本選択肢は△とした．
×⑵ アンジオテンシンⅡは，アルドステロンの分泌を促進したり，全身の血管収縮を促すことで，血圧上昇にはたらきかける．
×⑶ アルドステロンは，主に副腎球状層から分泌される．なお，腎実質から分泌されるホルモンとして，傍糸球体細胞からレニンが，同じく尿細管周囲の間質細胞からはエリスロポエチンが分泌される．
×⑷ 血漿浸透圧が上昇すると，下垂体後葉からのバソプレシン分泌が増加する．その結果，集合管において水の再吸収が促進され，血漿浸透圧は低下する．
○⑸ 文章通り．心房性ナトリウム利尿ペプチド（ANP）は，腎臓におけるナトリウムの再吸収を抑制することによって，排泄を促進する．
正解 : (5)