【解法の要点】
種々の野菜に含まれる成分等の違いが,野菜の調理操作を決定することが多い.いろいろな野菜について,持ち味を活かす調理法を系統的に整理しておこう.
【解説】
×⑴ 緑色野菜を鮮緑色にゆでるためには,ゆで水を弱アルカリ性にする.この操作により,緑色野菜に含まれるクロロフィル(緑色)は,鮮緑色のクロロフィリンとなる.なお,クロロフィルは,酸性条件下や長時間加熱によりフェオフィチン(黄褐色)に変化する.
×⑵ 野菜の煮崩れ防止のためには,ゆで水を弱酸性にする.この操作により, 野菜に含まれるペクチンのβ-脱離による分解が抑制されると同時に,加水分解による分解が抑制されるため,煮崩れを防ぐことができる.
×⑶ ワラビ,ゼンマイなどの山菜に含まれるあくを除くためには,灰汁や重曹液(0.3%程度)などアルカリ性溶液でゆでる.この操作により,野菜の組 織が軟化し,あくが溶出しやすくなり,さらに色よく仕上げることができる.
×⑷ 野菜を十分に軟化させるためには,80℃以上で加熱する.この操作により,野菜において細胞同士を接着させているペクチンは分解され,低分子となり, 細胞間の接着性が失われるため,野菜は軟らかくなる.
○⑸ 文章通り.野菜の細胞内液の浸透圧は,0.85%食塩水に相当するため,これより浸透圧の低い水に生野菜を浸すと,細胞内に水分が入り,歯ごたえが良くなる.
正解 : (5)