【解法の要点】
魚介類の特徴や成分を整理しておくこと.また,鮮度判定に関しては食品衛生学の内容とも重複するため,リンクしてまとめておこう.
【解説】
×⑴ 血合肉は魚類に特有の筋肉組織であり,普段食する普通肉と比べて赤黒い色調である.これは色素たんぱく質であるミオグロビン含量が多いためであ
る.
×⑵ 春先に日本の太平洋沿岸を北上していくかつお(初鰹)は,脂質が少なく(0.5 %)淡白な味である.その後,三陸沖や北海道沖あたりで餌を食べたか
つおは,水温の低下する秋口に南下していく.これが秋獲りのかつお(戻り鰹)であり,餌をたくさん食べているので脂質含量が高い (6.2 %).
〇⑶ 魚類はエネルギー源としてグリコーゲンおよび脂質を蓄積するが,貝類(特に二枚貝)はグリコーゲンを主たるエネルギー源として貯蔵するため,グリ
コーゲン量は魚肉中のものより多い.
×⑷ 魚肉のうま味成分は,イノシン酸や遊離アミノ酸などである.なお,グアニル酸は干ししいたけに多く含まれるうま味成分である.
×⑸ トリメチルアミンは海水魚の腐敗臭の原因物質であるため,鮮度の低下とともに増加する.
正解 : ⑸
【解法の要点】
牛乳に関して広く基礎的知識を問う問題は頻出である.日頃の食生活とも関連付けて理解しておこう.
【解説】
×⑴ 牛乳に含まれる主な糖質は,ラクトース(乳糖)である.ラクトースは乳に特有な二糖類であり,ガラクトースとグルコースで構成される.なお,マンノースは,こんにゃくいもの主成分であるグルコマンナンの構成糖の1つである.
×⑵ 牛乳に含まれる主な脂質は,トリグリセリドである.その他,ジアシルグリセロール,リン脂質などの脂質を含む.
○⑶ 文章通り.牛乳には炭素数8~12の中鎖脂肪酸が含まれる.具体的にはカプリル酸(炭素数8),カプリン酸(炭素数10),ラウリン酸(炭素数12)などである.ちなみに,牛乳には酪酸(炭素数4)などの短鎖脂肪酸が含まれていることも特徴といえる.
×⑷ 牛乳に含まれるたんぱく質で,加熱で変性するのはα-ラクトアルブミンとβ-ラクトグロブリンである.カゼインは二次構造や三次構造などの立体構造が少なく,熱に安定であるため,100 ℃以下の加熱ではほとんど変化しない.
×⑸ LL牛乳(ロングライフミルク)は,120~150℃で2~3秒間加熱する超高温瞬間殺菌法で殺菌される.滅菌に近い状態となるため,常温で長期保存が可能である.
正解 : (3)
【解法の要点】
牛乳は栄養成分だけでなく食品衛生学,チーズなどの食品加工学,調理学などさまざまな領域から幅広く出題されているので,しっかり理解しておこう.
【解説】
×⑴ 牛乳の炭水化物のほとんどは,100 gあたり約4.8 g含まれるラクトース(乳糖)である.なお,マルトースは水あめの主成分である.
◯⑵ 文章通り.牛乳には約3 %のたんぱく質が含まれ,主要なものはカゼインと乳清たんぱく質(ホエー)である.乳清たんぱく質は,全牛乳たんぱく質の約20 %を占め,主要なものはβ -ラクトグロブリンである.
×⑶ 牛乳のpHは,6.8前後であるが,カゼインが凝集沈殿する等電点はpH 4.6である.乳酸菌の乳酸発酵によりpHが低下して,この等電点で沈殿する性質を利用した食品がヨーグルトである.
×⑷ 牛乳に含まれる脂質中のトリグリセリドの割合は,98 %である.そのほかに乳化にはたらくレシチンが存在している.
×⑸ 牛乳は,搾乳した牛の乳である生乳に,加熱・殺菌処理などをしたものである.牛乳は,原料として生乳が100 %であることが条件であるため,製造段階で水などを加えることはできない.
正解 : (2)
【解法の要点】
鶏卵の成分についての基礎知識が問われている.卵白と卵黄の違いは,国試でも問われやすいため,しっかりと整理しておこう.
【解説】
×⑴ 卵殻の主成分は,炭酸カルシウムである.卵の卵殻の表面は,たんぱく質を主成分とする薄層(クチクラ)で覆われ,外部からの細菌の侵入を防いでいる.そのため卵を洗うとクチクラが剝がれてしまい,保存性は低下する.
×⑵ 卵白は水分88%,たん白質10%を含むが,脂質をほとんど含まない.一方,卵黄は水分48%,たんぱく質16%,脂質33%を含む.なお卵黄の黄色は,カロテノイドによるもので,餌に由来する.黄色が濃いものが,必ずしも栄養価は高いとはいえない.
×⑶ 卵白のたん白質では,オボアルブミンの割合が最も高く(54%),卵の主要なアレルゲンのひとつである.卵白中の主なたんぱく質は,ほかにオボトランスフェリン12 ~ 13%,オボムコイド(アレルゲン物質)11%,リゾチーム(抗菌作用)3.4%などである.卵が保存性に優れているのは卵白のリゾチームが抗菌作用をもっているからである.
○⑷ 文章通り.リン脂質は,卵黄の脂質中に30%含まれており,リン脂質にはレシチンが70%,ホスファチジルエタノールアミンが24%含まれている.レシチンは,分子中に親水基と親油基をもち,界面活性剤としてはたらくため,マヨネーズの製造などに利用される.
×⑸ 「日本食品標準成分表2015年版(七訂)」によると,卵黄の水分含量は48%であり,卵白(水分含量88%)に比べて少ない.なお卵は貯蔵中,卵殻を通じて水分が蒸発するに従い,気室の体積が増加し,比重が低下する.卵の比重は,鮮度の低下とともに,小さくなる.
正解 : (4)