【解法の要点】
食品成分の変化について,その原因と構造的特徴を整理しておこう.特に,酵素反応が関わる食品成分の変化は頻出事項であるため,確実におさえておこう.
【解説】
〇⑴ 文章通り.ビタミンB₂は,光に弱く,黄橙色で蛍光色を有することから食品中で光増感作用を示す.
×⑵ イノシン酸は,ATPの分解物であり,食肉のうま味成分である.
×⑶ なすの切り口が短時間で褐変するのは,酵素的褐変による.切った後に水に浸すことで,この褐変は防ぐことができる.なお,メイラード反応(アミノカルボニル反応)は,非酵素的褐変である.
×⑷ だいこんの辛みであるトランス-4-メチルチオ-3-ブテニルイソチオシアネートが生成するのは,ミロシナーゼがシニグリンを加水分解する反応による.アリイナーゼは,にんにくに含まれるアリインを加水分解し,香気成分であるアリシンを生成する.
×⑸ りんご果汁の濁りは,ペクチナーゼ処理で除去できる.なお,ミロシナーゼは, からしやわさび,大根に含まれるシニグリンを加水分解し,辛味成分かつ香気成分であるイソチアネート類を生成する.
正解 : (1)
【解法の要点】
加工食品の製造に関する基本的な問題である.食品を加工する際に必要となる添加剤や,食品の貯蔵中に生じる成分の変化など基礎的な内容が問われている.
【解説】
×⑴ 納豆の製造に用いるのは,納豆菌である.酢酸菌は,食酢を製造する際に原料の穀物や果実を発酵させるために用いられる
○⑵ 文章通り.こんにゃくの製造では,こんにゃくいもの主成分であるグルコマンナンに水酸化カルシウムを加え,ゲル化させる.
×⑶ かまぼこをはじめとする練り製品は,魚肉や食肉に塩化ナトリウム(NaCl)を加えてすりつぶす.これにより,筋原線維たんぱく質で粘弾性のあるアクトミオシンが形成され,さらに加熱することで保形性のあるゲルとなる.
×⑷ 豆腐の製造では,豆乳に塩化マグネシウム(にがり)または,硫酸カルシウムを加えて凝固させる.
×⑸ 干し柿の製造では,柿の渋味成分である可溶性タンニンを不溶性タンニンに変換する.これにより,渋味が感じられなくなる.
正解 : (2)