【解法の要点】
4種類の脂溶性ビタミンの機能に関する基礎問題である.各脂溶性ビタミンの特徴,生理機能,欠乏症について整理しておこう.特に,核内受容体に結合してホルモン様作用を示すビタミンA とD について理解しておこう.
【解説】
×⑴ ビタミンAは上皮細胞や成長,生殖能,視覚機能などを正常に保つ作用がある.血液中のカルシウムの低下によって増加する活性型ビタミンDは,小腸からのカルシウム吸収を促進するとともに,骨からカルシウムを遊離させるはたらきもある.
○⑵ 文章通り.β-カロテンやクリプトキサンチンなどのカロテノイドは,抗酸化作用を示す.
×⑶ 血液凝固に関与している脂溶性ビタミンは,ビタミンK である.ビタミンK は,一部の血液凝固因子の合成に必要とされる.
×⑷ 核内受容体に結合するのはビタミンA(レチノイン酸)とビタミンD(1 α,25-ジヒドロキシビタミンD)である.
×⑸ 視覚機能に関与する脂溶性ビタミンは,ビタミンA である.ビタミンA は,レチノールとして吸収され,網膜内で11-シスレチナールからロドプシンとなる.
正解 : (2)
【解法の要点】
水溶性ビタミンに関する基礎問題である.各水溶性ビタミンの特徴(構成成分,吸収,基本機能)を整理しておこう.
【解説】
×⑴ ビタミンB₂は,小腸上皮細胞において能動輸送で吸収される.内因子と結合して吸収されるのは,ビタミンB₁₂である.
×⑵ ナイアシンは,トリプトファンから合成される.転換効率は1/60である(ナイアシン当量の計算).
×⑶ 葉酸は,狭義には,p-アミノ安息香酸にプテリン環とグルタミン酸が結合したプテロイルモノグルタミン酸である.なお,コバルトを含む水溶性ビタミンは,ビタミンB₁₂ である.
×⑷ ビオチンは,補酵素としての機能をもつが,コエンザイムA(CoA)の構成成分ではない.コエンザイムAの構成成分となるのは,パントテン酸である.
○⑸ 文章通り.抗酸化作用をもつ還元型ビタミンCは,ほかの物質を還元することで酸化型ビタミンCとなるが,グルタチオンにより再び還元型ビタミンCとなる.一方で,ビタミンEは,一度ほかの物質を還元するとビタミンEラジカルとなり,抗酸化作用を失う.そのため,ビタミンCとビタミンEが共存すると,ビタミンCが,ビタミンEラジカルを還元し,ビタミンEへと変換する.
正解 : (5)
【解法の要点】
脂溶性ビタミンに関する基礎的な問題である.脂溶性ビタミンの吸収経路,主な機能,欠乏症および過剰症について整理しておこう.
【解説】
×⑴ 脂溶性ビタミンは,キロミクロン(カイロミクロン)の構成成分となり,リンパ管を経由して静脈に流れる.
◯⑵ 文章通り.レチノイン酸(ビタミンA)と1α,25-ジヒドロキシコレカルシフェロール(ビタミンD)は核内受容体に結合して,遺伝子発現を調節する.
×⑶ ビタミンDは,ヒトの皮膚に存在するプロビタミンD₃に紫外線が当たることで合成される.腸内細菌が合成できる脂溶性ビタミンはビタミンKのみである.
×⑷ ビタミンEは抗酸化ビタミンのひとつであり,膜脂質の酸化を抑制する.
×⑸ ビタミンKは,血液凝固因子の産生に関わるビタミンである.
正解 : (2)