【解法の要点】
鉄の吸収については,貧血などの疾患を理解するうえでも重要である.鉄の体内分布(機能鉄と貯蔵鉄)や食品に含まれる鉄の形態もしっかり理解しておこう.
【解説】
×⑴ 非ヘム鉄(3価鉄)は,ヘム鉄(2価鉄)に還元され,吸収される.そのため,非ヘム鉄の吸収率は,ヘム鉄と比べて低い.
×⑵ 鉄欠乏により生体内の鉄要求量が高まれば,ヘム鉄,非ヘム鉄に関係なく吸収率は上昇する.
×⑶ 体内の総鉄量の大部分は,機能鉄として存在する(約70 ~ 80%).なお,貯蔵鉄は,体内に約20~30%存在し,男子に比べ女子では非常に少ない.
×⑷ 体内の機能鉄の大部分をしめるヘモグロビン(総鉄量の約65%)は,血液中に存在する.
○⑸ 文章通り.赤血球は主に脾臓で破壊され,鉄が遊離する.この鉄はトランスフェリンと結合し(血清鉄),ヘモグロビン合成に再利用される.
正解 : (5)
【解法の要点】
鉄に関する基礎問題である.消化吸収の特徴,機能鉄と貯蔵鉄の分類と比率,欠乏症・過剰症,鉄の損失経路などについて整理しておこう.
【解説】
◯⑴ 文章通り.汗は水分以外に,鉄,ナトリウム,塩素が含まれている.また,その他の微量成分としてカリウム,尿素,乳酸,カルシウム,マグネシウム,リン,アンモニアなどが含まれる.
×⑵,⑶ ヘム鉄は2価鉄,非ヘム鉄は3価鉄であり,吸収される形態は2価鉄であるため,吸収率はヘム鉄の方が高い.非ヘム鉄は2価鉄に還元されてから吸収される.
×⑷ 貯蔵鉄はフェリチンやヘモシデリンと結合している.トランスフェリンは,鉄を輸送する血清鉄(機能鉄)である.
×⑸ ヘモクロマトーシスは,鉄の過剰症で,先天性によるものと輸血過剰によるものがある.
正解 : (1)