【解法の要点】
「日本人の食事摂取基準(2020年版)」の栄養素の指標の概要をよく理解し,指標ごとの目的,設定根拠,活用方法などをまとめておこう.
【解説】
◯⑴ 文章通り.RDA(推奨量)は摂取不足の回避を目的に設定されている指標で,EAR(推定平均必要量)やAI(目安量)とともに個人の摂取不足の評価に用いられる.集団の摂取不足の評価にはEARとAIを用い,RDAは用いない.
◯⑵ 文章通り.AIは摂取不足の回避を目的とした指標で,特定の集団の観察研究により不足状態を示す者がほとんど観察されない量として示される.AIを下回った場合に不足状態に陥るかどうかの疫学研究は実施困難なため,不足の評価はできない.
×⑶ UL(耐容上限量)はいわゆる健康食品やサプリメントなど,通常の食品以外の食品からの摂取について設定されている栄養素もある.
◯⑷ 文章通り.DG(目標量)は生活習慣病の発症予防を目的とした指標である.食事摂取基準で扱う生活習慣病の対象疾患は,CKD(慢性腎臓病)のほか,高血圧,脂質異常症および糖尿病が基本となっている.
◯⑸ 文章通り.「日本人の食事摂取基準(2020年版)」から,DGに限って数値の算定に用いられた根拠のエビデンスレベル(D1 ~ D5)が示されている.
正解 : (3)
【解法の要点】
「日本人の食事摂取基準(2020年版)」の集団への活用は頻出事項である.活用の目的に応じた指標および食事改善計画の立案方法をまとめ,個人への活用との違いを理解しておこう.
【解説】
○⑴ 文章通り.エネルギー摂取の過不足の評価には体重変化量およびBMIを指標に用いる.BMIを用いる場合は,BMIの分布から,目標の範囲を逸脱している者の割合を算出し,範囲内にとどまっている者の割合を増やすことを目的に立案する.
×⑵ 「食事摂取基準(2020年版)」では設定したエネルギー摂取量の評価において実際の対象者のエネルギー摂取量は用いず,体重変化量およびBMIを用いる.その背景には,エネルギー摂取量を推定するには食事アセスメント法を用いることとなるが,測定誤差が大きいことが挙げられる.また,推定エネルギー必要量は参考表として示されているが,食事改善計画には用いない.
×⑶ 栄養素の摂取不足の評価には推定平均必要量を指標に用いる.摂取量の分布から,推定平均必要量を下回る者の割合を算出し,その割合をできるだけ少なくすることを目的に立案する.なお,推定平均必要量が設定されていない栄養素では目安量を指標に用い,摂取量の中央値が目安量付近かそれ以上に維持されるよう立案する.
×⑷ 個人を対象とした食事改善計画の立案には推奨量も指標に用いるが,集団を対象とする場合は推定平均必要量または目安量を用いる.
×⑸ 栄養素の過剰摂取の評価には,平均値を用いず,摂取量の分布を用いる.栄養素の過剰摂取の評価には耐容上限量を指標に用いる.摂取量の分布と耐容上限量から,過剰摂取の可能性のある者の割合を算出し,全員の摂取量が耐容上限量未満になるための計画を立案する.
正解 : (1)
【解法の要点】
「日本人の食事摂取基準(2020年版)」の集団への活用は頻出事項である.エネルギーおよび栄養素ごとの評価に応じた指標の活用方法をまとめ,個人への活用との違いを理解しておこう.
【解説】
×⑴,⑵ エネルギー摂取の過不足では,BMIを指標として用い,目標とするBMIの範囲を逸脱する者の割合を求める. EER(推定エネルギー必要量)はエネルギーの過不足の評価に用いない.
〇⑶ 正しい組合せ.栄養素の摂取不足の評価について,EAR(推定平均必要量)が設定されている栄養素ではEARを指標として用い,EARを下回る者の割合を求める.なお,EARが設定されていない栄養素については,摂取量の中央値とAI(目安量)を比較し,不足していないことを確認する.
×⑷ 栄養素の摂取不足の評価では,EAR およびRDA(推奨量)が設定されている栄養素ではEARを指標として用い,EARを下回る者の割合を求める.RDA は個人の評価では用いるが,集団では用いない.
×⑸ 栄養素の過剰摂取の評価では,UL(耐容上限量)を指標として用い,ULを上回る者の割合を求める.AIはEARおよびRDAが設定されていない栄養素の摂取不足の評価の指標として用いる.
正解 : (3)
【解法の要点】
「日本人の食事摂取基準(2020年版)」の集団への活用は毎年のように出題されている.エネルギーおよび栄養素ごとの指標とその評価方法をまとめ,個人への活用との違いを理解しておこう.
【解説】
×⑴ 平均値は用いない.BMIの分布から,目標とする範囲を下回っている(不足),あるいは上回っている(過剰)者の割合を算出する.
×⑵ 集団の評価ではRDA(推奨量)は用いない.摂取量の分布から,EAR(推定平均必要量)を下回る者の割合を算出する.
×⑶ AI(目安量)が設定されている栄養素では,摂取量の中央値とAIとを比較するが,AIを下回っていても不足状態にあるかどうか判断できないため,その割合を算出することはしない.
〇⑷ 摂取量の分布から,UL(耐容上限量)を上回る者が過剰摂取の可能性があると判断する.
×⑸ 平均値は用いない.摂取量の分布から,DG(目標量)の範囲を逸脱する者の割合を算出する.
正解 : ⑷