【解法の要点】
成長・発達に関する基本的な用語と内容を問う基礎問題である.身長や体重の成長,臓器発育速度,ライフステージによる体水分量の違いについては頻出問題のため,しっかりと理解しておこう.
【解説】
×⑴,⑵ 身長や体重の増加など,量的に測定できる身体の形態的な要素が増加もしくは増大する変化の過程を成長という.一方で,発達とは,精神機能や運動機能の発達など,成長に伴って起こる質的・機能的な変化の過程をいう.
×⑶ 臓器発育は,臓器別,器官別に異なった発育速度で進む.スキャモンの発育曲線に示されるように,器官は大きく4つの分類(一般型,神経系型,生殖器系型,リンパ系型)に分けられ,発育状況が異なる.
○⑷ 文章通り.乳幼児期と思春期(第二次性徴)の2回に著しく発育する.身長はスキャモンの発育曲線で一般型に分類され,S字状発育曲線を示す.
×⑸ 体重1 kgあたりの体水分量は新生児期が75 ~ 80%にあたる0.75~0.8kgであるのに対し,学童期は成人に近い0.6 kg程度である.したがって,学童期より新生児期で多い.
正解 : (4)
【解法の要点】
成長・発達・加齢に伴う身体的・生理的変化に関する問題である.いずれの選択肢も基本事項ばかりなので,しっかりと確認しておこう.
【解説】
×⑴ 体水分量に占める細胞外液の割合は,成人期より新生児期の方が大きい.体水分量は加齢に伴い減少するが,幼児期から成人期にかけては細胞外液が,成人期から高齢期にかけては細胞内液の割合が主に減少する.
×⑵ 胸腺重量は,12歳ころに最大となる.スキャモンの発育曲線によると,胸腺を含むリンパ型は,12歳ころまでに成人期の2倍近くまで成長し,思春期から成人期に向けて退縮する.なお,一般型,神経型,生殖器型は,おおよそ成人期で最大となる.
×⑶ 加齢に伴い腎機能が低下するため,糸球体濾過量は成人期より高齢期の方が小さい.
〇⑷ 文章通り.加齢に伴い塩味の閾値は上昇する(塩味を感じにくくなる)ため,高齢者では食事摂取量の低下や食塩の過剰摂取に注意が必要である.
×⑸ 加齢に伴い消化液分泌量が減少するため,唾液分泌量は,成人期より高齢期の方が少ない.したがって,高齢者では口腔内が乾燥しやすく,摂食・嚥下障害や発声障害,食欲の低下などが起こりやすい.
正解 : (4)