【解法の要点】
加齢に伴う身体的・生理的変化と高齢期の生理的特徴については頻出事項なので,しっかりと確認しておこう.
【解説】
〇⑴ 正しい.基礎代謝量は思春期で最大となり,以降は加齢とともに低下する.なお,体重1kgあたりの基礎代謝量の代表値である基礎代謝基準値は,1~2歳で最大となる.
×⑵ 誤り.高齢期では,骨格筋たんぱく質の同化作用が低下するため,除脂肪体重や活動量の減少がみられる.これらを維持するために,高齢期では成人期と比較して,体重1kg当たりのたんぱく質必要量が増加する.
〇⑶ 正しい.高齢期では,嚥下機能をはじめとする口腔機能の低下により誤嚥, さらには誤嚥性肺炎のリスクが高まる.
〇⑷ 正しい.高齢期では,骨代謝の低下や食事摂取量の減少などにより,骨形成に必要なカルシウムやビタミンDが不足し,骨密度が低下する.特に女性では,閉経後のエストロゲン分泌の低下も加わり,骨密度は急激に低下する.
〇⑸ 正しい.高齢期では,肺の弾性収縮力の低下により,呼吸機能が減退するため,肺活量は低下する.
正解 : (2)
【解法の要点】
高齢者の生理的機能に関する基礎問題である.消化管,循環器,血液,運動器,呼吸器などを中心にどのような変化が起こるかは頻出問題であるため,しっかりと理解しておこう.
【解説】
○⑴ 文章通り.細胞内液量は,成人期と比較し高齢期で75%程度になる.一方で,細胞外液量は大きな変化はみられない.したがって,細胞内液量に対する細胞外液量の比が高くなる.
×⑵ 高齢期では,肺活量の低下がみられるほか,最大酸素摂取量や換気量,呼吸筋の筋力低下など,呼吸器系の機能が低下し,全身持久力の低下などにつながる.
×⑶ 高齢期では,免疫機能も低下するため,感染症やがんに罹患しやすくなるほか,リウマチなどの自己免疫疾患も増加する.
×⑷ 筋たんぱく質代謝は,筋たんぱく質合成と筋たんぱく質分解のバランスにより調整される.高齢者では筋たんぱく質の合成量が分解量を下回る状態となっており,筋たんぱく質代謝は抑制されている.
×⑸ 高齢期では,胃酸をはじめとした消化液の分泌量が減少するため,口渇感の鈍化や食物の胃内滞留時間の延長などにつながる.
正解 : (1)
【解法の要点】
高齢者の生理的特徴に関する基礎問題である.高齢期と成人期の生理的特徴の違いについては頻出問題であるため,しっかりと整理しておこう.
【解説】
◯⑴ 正しい.高齢期では成人期に比べて,肺活量および最大換気量が低下し,残気率が増加するなど呼吸器系の機能が低下する.
×⑵ 高齢期では成人期に比べて,腸管運動や食道運動が減弱するなど,消化器系の機能が低下する.
×⑶ 高齢期では成人期に比べて,筋肉量などの除脂肪体重が減少するなど,運動器系の機能が低下する.
×⑷ 高齢期では成人期に比べて,細胞内液量は,75 %程度まで低下する.なお,細胞外液量は変わらない.
×⑸ 高齢期では成人期に比べて,ペプシン活性が減弱する.高齢期では消化液の分泌量や活性が低下する.
正解 : (1)
【解法の要点】
前問に続き高齢者の生理的機能に関する基礎問題である.高齢期と成人期の生理的機能の違いについては頻出問題であるため,しっかりと整理しておこう.
【解説】
×⑴ 高齢者では,味覚の鈍化により,塩味および甘味の閾値が上昇する.
◯⑵ 文章通り.高齢者では成人と比較して,食後(たんぱく質摂取後)の骨格筋などにおけるたんぱく質合成が低下するため,たんぱく質合成量は低下する.
×⑶ 高齢者では,胃酸などの消化液の分泌量および活性が低下するため,食品中のビタミンB₁₂ 吸収率は低下する.
×⑷ 腸管からのカルシウム吸収率は加齢とともに低下し,骨量や骨密度が減少する可能性がある.
×⑸ 高齢者では,腎血流量の低下や尿の濃縮機能低下が起こるなど,腎臓系の機能が低下する.
正解 : (2)