【解法の要点】
特殊環境における生体の変化については頻出事項である.高温,低温,高圧,低圧環境に対しての生体反応を理解しておこう.
【解説】
×⑴ 高温環境,低温環境をはじめとした特殊環境の影響を受けやすいのは,皮膚などの体表面温度である.体温などの中心温度は,体表面温度の影響を受ける.
×⑵ WBGT(湿球黒球温度)は,熱中症のリスクを判断するための指標である.WBGTが上昇したときは,熱中症の発生リスクが考えられるため,水分摂取を心がけることが重要である.
×⑶ 低温環境下では,皮膚からの放熱を防ぐために血管が収縮し,皮膚血流量は減少する.
〇⑷ 文章通り.高圧環境から急激に減圧すると,血液中に溶解する窒素が血管で気泡化し,塞栓を引き起こす.この障害を減圧症(潜函症)という.
×⑸ 低圧環境下では,呼気中の酸素分圧が低下するため,肺胞内酸素分圧も低下する.
正解 : (4)
【解法の要点】
特殊環境下(高温・低温・高圧・低圧)の生理的変化については,頻出事項である.環境の変化に対して,生体はどのように変化し順応していくか考えながら学習しよう.
【解説】
×⑴ 高温環境下では,適切な体温を維持するため,熱放散が促進され,皮膚血管の拡張や発汗が促進される.
×⑵ 低温環境下では体温保持のためにエネルギーを必要とすることから産熱機構がはたらく.したがって,エネルギー代謝の補酵素であるビタミンB1の必要量は高まる.
×⑶ 低温環境下では,皮膚からの放熱を防ぐため血管は収縮する.そのため血圧は上昇する.
○⑷ 文章通り.低圧環境下では酸素が希薄となり,吸気中の酸素分圧が低くなる.それに伴いガス交換が阻害され,酸素欠乏を生じることから,動脈血の酸素分圧は低下する.
×⑸ 無重力環境下では,骨吸収の促進により,尿中カルシウム排泄量は増加する.
正解 : (4)
【解法の要点】
特殊環境(高温・低温・高圧・低圧・無重力)における生理的な変化については頻出事項である.それぞれの環境の特徴をしっかりと整理し,どのように体が変化するのかを理解しよう.
【解説】
×⑴ 体熱放散を増加させるため,皮膚血管は拡張する.逆に低温環境では,体熱放散を防ぐために皮膚血管は収縮する.
×⑵,⑶ 低温環境では,アドレナリンや甲状腺ホルモンの分泌が上昇し,エネルギー代謝が亢進するため,基礎代謝量は増加する.なお,アドレナリンは,体表面や末端部の皮膚血管を収縮させることで熱の放散を抑制し,体温を維持する.
〇⑷ 文章通り.低圧環境では,酸素分圧が低下するため,肺胞内酸素分圧も低下する.
×⑸ 無重力環境では,循環血液量が減少する.無重力環境では体液が頭部へ移動するため,生体内の体液が過剰であると判断され,尿量が増加し,体液を排泄する方向に傾くことによって起こる.
正解 : ⑷