【解法の要点】
共感的理解とは,クライアントの感じ方や気持ちを理解しようとする態度のことである.栄養カウンセリングの基本的姿勢を他の用語とともに確認しておこう.
【解説】
〇⑴ 文章では,クライアントの発言を要約し,繰り返している.この対応は,気持ちを理解しようとする態度を示していると言えるため,正しい.
×⑵~⑷ カウンセラーの価値観や評価を含む言葉がけ,具体的指導や情報提供はクライエントの立場にたって理解しようとする態度とは言えず,共感的理解として適切でない.
〇⑸ 文章では,クライアントが話を続けることを促し,傾聴の姿勢を示している.この対応は,気持ちを理解しようとする態度を示していると言えるため,正しい.
正解 : (1),(5)
【解法の要点】
ラポールの形成は,クライアントとカウンセラー間の信頼関係であり,カウンセリングの初期段階で重視される.クライアントに十分耳を傾け,受容し,クライアントの気持ちを理解するという共感的態度が,ラポールの形成につながる.信頼関係を築くための基本をおさえておこう.
【解説】
×⑴ 受容しているようにもとれるが,悩んでいるクライアントに対して「仕方ない」という発言は,無条件の受容や共感的態度に当てはまらない.
〇⑵ 母親が感じていることに対して理解を示すような印象を与える,共感的態度を示す発言である.ラポール(信頼関係)を形成するために,最も適切である.
×⑶,⑷ 解決策の提案や具体的指導は,ラポールの形成後に行う.また,カウンセリングではクライアント自らが解決策を見つけられるよう支援することが大切である.
正解 : ⑵
【解法の要点】
栄養カウンセリングでよく用いられる,動機づけ面接についての出題である.クライアントの「変わりたい,でも変わりたくない」という両価性に焦点をあて,行動変容に抵抗する発言(維持トーク)を受容し,望ましい行動に変わりたいという意思表示発言(チェンジトーク)を引き出し,強化することが重要である.
【解説】
×⑴~⑶ どの発言も,行動変容に対する抵抗を示す発言(維持トーク)であり,行動変容の高まりがみられない.
○⑷ 「もし行動変容できたら,こんな結果が期待できる」と行動を変えたい理由を述べており,行動変容への動機づけが高まったことを示す発言(チェンジトーク)である.
正解 : (4)
【解法の要点】
チェンジトークとは,自らを変えたいという意思表示発言である.次のような種類がある.Desire(変化への望み),Ability(変化することへの自信),Reason(変化による利点),Need(変化しないことへの心配),Commitment(変化に必要な具体的な計画).頭文字をとってDARN-Cと呼ばれる.行動を変えることに抵抗する発言(維持トーク)を受容しながら,チェンジトークを引き出し強化することが重要である.
【解説】
×⑴ やめられない理由を考えてもらう質問は,チェンジトークを促すものではない.
〇⑵ 飲酒をやめられなかったら胎児に影響があって困るなど,ネガティブな理由をあげるNeedにあたるチェンジトークを促せられると考えられる.
〇⑶ 飲まずにいられた日を考えてもらうことでAbilityのチェンジトークを促すと考えられる.
〇⑷,⑸ 飲酒をやめることはポジティブな結果が伴うという,ポジティブな理由をあげることになるため,Reasonにあたるチェンジトークを促すと考えられる.
正解 : ⑴