【解法の要点】
長期絶食状態の患者に対して栄養投与する際には,リフィーディング症候群に対する留意が必要である.そのため,できるだけ少量のエネルギー投与からはじめて漸増していく.
【解説】
〇⑴ 神経性やせ症など長期絶食状態の患者に投与すべきエネルギー量は,一律に決められているものではないが,リフィーディング症候群を合併しないように,初期投与のエネルギー量はできるだけ少量とする必要がある.たとえば,「静脈経腸栄養ガイドライン第3版」(日本静脈経腸栄養学会)では,原則として,推定必要エネルギー量の半量以下から開始すべきとしている.これに従うと,23 歳女性の推定エネルギー必要量は,身体活動レベルがⅡの場合で1,950 kcal であるため,開始時のエネルギー量としては,975 kcal/ 日以下,つまり選択肢の中では500 kcal/ 日が最も適正な量と考えられる.
×⑵~⑷ 選択肢⑴の解説を参照する.
正解 : (1)
【解法の要点】
本患者では,2週間以上の著しい食事摂取量不足に加え,嘔吐や下痢を繰り返しているため体内の状態として,極度な低栄養や脱水を推測して,病状を整理しておく.また,急いで栄養量を上げることによるリフィーディング(飢餓からの急激な栄養補給による代謝性合併症で,心不全や腎不全などを引き起こす)を予防しながら栄養管理を行うことに留意する.
【解説】
×⑴ 本患者は2週間以上ほとんど食事が摂取できていないためインスリン分泌は低下している.
○⑵ 本患者のように,長期間食事摂取ができず,やせが亢進し,体脂肪率が15%以下になると徐々に無月経が生ずる.
×⑶ 神経性やせ症である本患者では,著しい食事摂取量の不足や嘔吐により,低カリウム血症がみられることがある.
×⑷ 本患者は2週間以上食事がとれていないので,急激なエネルギー摂取によるリフィーディングを予防する観点から,少量の摂取量から栄養摂取を始める.
×⑸ 神経性やせ症では,消化管の機能的な障害があるわけではないので,少量からの経腸栄養剤の摂取は推奨される.
正解 : (2)