【解法の要点】
重症外傷,重症熱傷,重症感染症,手術などの高度侵襲が加わった場合の生体反応は共通した特徴を有する.侵襲に対する生体反応,侵襲時の代謝の特徴の知識が必要となる問題である.クリティカルケア,傷病者の栄養アセスメントと栄養投与量の算定を確認しておこう.
【解説】
×⑴ 受傷後24 ~ 48時間で安静時エネルギー消費量は低下するが,その後は上昇し,数日から数週間持続する.受傷4日目なので,安静時エネルギー消費量は上昇するため間違いである.
〇⑵ 文章通り.高度侵襲時には,血糖上昇ホルモンの分泌が亢進するため,インスリン抵抗性は増大する.その結果,高血糖をきたしやすい.
×⑶ 水分投与量10 mL/kg現体重/日では,少なすぎる(体重60 kgの場合で600 mL/日).クリティカルケア時の水分投与量は,さまざまな算出方法があるが,その一つに30 ~ 35 mL/kg現体重/日がある.
×⑷ NPC/N比はたんぱく質量に対して,他のエネルギー素材をどれだけ用いれば,たんぱく質を効率よく利用できるかを示した指標である.クリティカルケア時,急性期をすぎるとたんぱく質分解が亢進するため補給する必要がある.健常成人でNCP/N比が150 ~ 200であるところ,外傷患者においては120から150程度である.
×⑸ クリティカルケア時,急性期をすぎると脂質分解が亢進するため補給する必要がある.ただし,炭水化物とたんぱく質についても補給する必要があるため,脂肪エネルギー比率50 % Eが多すぎる.脂肪制限でなければ,脂肪エネルギー比率は25 から30 % E とする.
正解 : (2)