【解法の要点】
工程管理や2次汚染の視点から適切な組合せを考える．また問題文で動線図が提示されているので，作業動線をイメージしてみるとよい．また食事提供における調理工程管理とともに，「学校給食衛生管理基準」文部科学省（平成21年4月1日施行）についても確認をしておこう．
【解説】
×⑴ 「大量調理施設衛生管理マニュアル」および「学校給食衛生管理基準」では， 下処理室における加熱調理用食品，非加熱調理用食品の洗浄に用いるシンクは別々に設置することと明記されている．キャベツと鮭は，いずれも加熱調理用食品であり，また本問の動線図では，キャベツと鮭とで使用するシンクが異なっていることが確認できる．動線は交差しないため，時間帯をずらす必要はない．
×⑵ 動線図から，同じ釜を使用してブロッコリーのゆで作業とキャベツとじゃがいものスープの調理作業をすることがわかる．ゆで作業の後に，スープの調理ができるように，ブロッコリーをゆでている間に，キャベツの切裁作業などを行う．
〇⑶ サラダの調味作業は加熱調理後の食品を扱った作業であり，加熱調理前食品である鮭との2 次汚染防止を目的として，時間帯をずらして行った方が良い作業の組合せである
×⑷ スープとサラダの配缶作業においては，スープとサラダはいずれも加熱調理済み食品であり，時間帯をずらす必要はない．
正解 : (3)
【解法の要点】
作業区域と工程管理の理解が必要な問題である．動線図から選択肢の作業をイメージして適切な変更内容を考える．
【解説】
×⑴ 作業工程は，作業のプロセス，順序・段階，進み具合等を検討し，提供時間を起点に作成する．ピーラーが故障した場合に，予定通りの作業工程で実施することは，提供時間に間に合わない恐れがあるだけでなく，急いで作業をすることによる事故発生のリスクもあるため危機管理の観点からも適切ではない．
×⑵，⑶ 調理場における動線計画では食品と人は，一方向（ワンウェイ）となるようにするのが基本である．キャベツの洗浄，じゃがいもの皮むきは，汚染作業区域で行う作業であり，キャベツの切裁，ブロッコリーのゆで加熱とサラダの仕上げは，非汚染作業区域で行う作業である．汚染区域と非汚染区域の交差は2 次汚染の恐れがあることから適切ではない．
〇⑷ 工程管理，汚染防止の両面から適切な作業変更であるといえる．
正解 : (4)
【解法の要点】
給食現場では，予期せぬ事態が発生することが多いため，臨機応変に対応できる総合的な判断力が求められる．危機管理のひとつとしておさえておこう．
【解説】
×⑴ 調理従事者の勤務時間の延長は，人件費の高騰などを招く．また，労働生産性の低下につながるため，解決策として適切でない．
×⑵ 冷凍野菜に切り替えることで，下処理作業を省略することができ，人員不足は解消できるが，食材料費のコストアップを招く．さらに，献立を変更するには，労働力と時間がかかるために，すぐに導入することが難しいと考えられるため，最も適切な対応とはいえない．
×⑶ 昼食の料理数を増やすことで作業量が増え，不足している人員で対応するのは難しい．また，病院の食事であるため，パン，ジャム，牛乳のみの単一のメニューですべての患者に対応できない．したがって，対策として適切でない．
〇⑷ 食事提供が終了した後の閑散時間を活用して，クックチルシステムによる調理を行うことで少ない人数でも対応することができる．本問の施設では，クックチルシステムに必要な急速冷却機器（ブラストチラー）がすでにあるため，導入にかかる費用も少ない．したがって，最も適切な対応であるといえる．
正解 : (4)
【解法の要点】
調理従事者が不足している場合の危機管理として優先すべき点は，ヒト（調理従事者・利用者）とモノ（食品・食事）の安全・衛生管理であることを理解しておこう．本問は199番の解答をふまえたうえで選択肢を検討する必要があるため，199番で選んだ選択肢を実行したと仮定して，最も起こりうるアクシデントは何か，対応が適切かという視点で考えよう．
【解説】
×⑴ 設問の内容はインシデントではなくアクシデントである．インシデントはアクシデントに至らなかった事例であるため対策とならない．ただ，人員不足により，業務のあわただしさから厨房内で滑る，転ぶといったアクシデントが起こりやすくなるため，安全面においても考慮すべき事項である．しかし，最も起こりうるアクシデントとは考えにくく，最も適切とは言えない．
×⑵ 199番の選択肢⑵のように冷凍野菜に変更した場合，生野菜のように異物混入の可能性は低くなるが，確認方法は生野菜と同様に行うため，再考の必要はない．また，199番の正答選択肢が⑷であることから，生鮮野菜から冷凍野菜への切り替えも行わず，献立も変更していないため，確認方法は変わらないと考えられる．したがって，最も適切とはいえない．
×⑶ トレーセット内容の確認方法は，誤配食を防ぐために重要であるので，従業員の人数が変わっても人員配置を工夫したうえで，同様に行う．再考の必要はない．さらに，199番の正答選択肢が⑷であることから，選択肢⑷にある理由の通り，本選択肢よりも優先度が高いと考えられる．したがって最も適切とはいえない．
〇⑷ 文章通り．従事者が不足すると，衛生管理がおろそかになりやすく衛生事故の恐れが生じる．暫定的に衛生管理マニュアルを変更するなどして，欠員者を補う対策を講じる必要がある．また，199番の正答選択肢が⑷であることから，この施設ではクックサーブシステムとクックチルシステムを併用することになり，衛生管理上の重要管理点や管理基準が変更される可能性がある．そのため，従来のマニュアルで対応できるとは限らず，施設の衛生管理マニュアルを再考すべきである．なお，従来のクックサーブシステムのみの作業工程とクックチルシステムを併用する場合の作業工程では，加熱後の食品の冷却条件などが異なるため，これらの変更点を追記することが必要となる．
正解 : (4)
