【解法の要点】
腎臓の解剖・生理に関する問題である.腎臓の機能や分泌されるホルモンについて,基本的なところをおさえておこう.
【解説】
✕(1) 腎錐体は髄質に存在する.
✕(2) 腎の重さは左右各約120~150gである.
◯(3) エリスロポエチンは腎臓の尿細管間質細胞から分泌されるホルモンの一つで,骨髄で赤芽球に作用し赤血球への分化を促す.
✕(4) 右側に肝臓があるため,左腎と比較すると右腎のほうが低位である.また,同様の理由(肝臓がある)で,横隔膜は右の方が高い.
✕(5) 腎は心拍出量の20~25%の血流を受ける.
正解 : (3)
【解法の要点】
尿は腎小体(糸球体→Bowman囊)で濾過され,尿細管(近位尿細管→ヘンレ係蹄→遠位尿細管)を通り,集合管,腎杯,腎盂(腎盤),尿管,膀胱,尿道へと流れていく.
【解説】
◯(1) 遠位尿細管は集合管につながる.
◯(2) Bowman囊には尿細管へ移行する部分(尿管極)と,血管が出入りする部分(血管極)がある.
✕(3) 尿細管は,近位尿細管→Henle係蹄→遠位尿細管へとつながっている.小葉間静脈とは尿細管周囲の毛細血管の先の静脈路で,Henle係蹄にはつながらない.
◯(4) 糸球体はBowman囊に囲まれており,これを腎小体という.
◯(5) 輸入細動脈は糸球体を通り輸出細動脈へとつながる血管系である.
正解 : (3)
【解法の要点】
膀胱は上部の膀胱尖,下部の膀胱底,そして,中間部の膀胱体に区別される.膀胱底には内尿道口と左右の尿管口から形成される膀胱三角があり,腫瘍や結核の好発部位とされる.
【解説】
✕(1) 尿管口は膀胱底部に開口する.膀胱尖は膀胱頂部に位置する.
✕(2) 尿管内部に逆流防止弁は存在しない.尿管が膀胱壁を斜めに貫くことで,膀胱内の尿が逆流するのを防いでいる.
✕(3) 男性の尿道は約20cmと長く,女性は約3cmと短い.
◯(4) 男性の尿道は前立腺内を走行し,陰茎の尿道海綿体を通って亀頭の先端で外尿道口へ開口する.したがって男性は,加齢などにより前立腺が肥大すると尿道が塞がってしまい,尿閉になる.
✕(5) 左右の尿管口と内尿道口の3点を結んだものが膀胱三角である.したがって,内尿道口は膀胱三角の中央には開かない.
正解 : (4)
【解法の要点】
膀胱,尿管の解剖に関する問題.膀胱は膀胱頂,膀胱体,膀胱底に区別され,膀胱底に膀胱三角が位置する.尿管は腎盂から膀胱までの管で,腎門を出たところから始まり後腹膜を下って総腸骨動静脈の前を交叉して骨盤に入り,膀胱底に開口する.粘膜は尿路上皮(移行上皮)で,粘膜・筋層と線維性の外膜からなる.
【解説】
◯(1) 外尿道括約筋は横紋筋である.
✕(2) 膀胱尖は膀胱頂部に位置する.膀胱三角とは左右尿管口と内尿道口に囲まれた領域であり,膀胱底に位置する.
✕(3) 膀胱底は膀胱後方下部に位置する.
✕(4) 尿管は総腸骨動脈の前方を通る.
✕(5) 尿管壁は粘膜,筋層とその外側の外膜からなる.
正解 : (1)