【解法の要点】
Scarpa三角は大腿三角ともいい,大腿前面にて鼠径靱帯,縫工筋内側縁,長内転筋外側縁によって囲まれた領域をいう.底は腸恥筋膜に包まれた腸腰筋,恥骨筋,長内転筋で形成される.特に腸腰筋と恥骨筋の接合部は腸恥窩といい,ここを大腿神経(N),大腿動脈(A),大腿静脈(V),リンパ節(L)が外側からNAVLの順に並走する.
【解説】
✕(1) 大腿直筋は縫工筋の外側を走行するため,Scarpa三角の内で触知はできない.大腿前面の中央部などで触知できる.
◯(2),(3) 恥骨筋,腸腰筋は,Scarpa三角の内で触知できる.
✕(4) 内閉鎖筋は,骨盤内部から大転子に走行し,殿部の深層にある.
✕(5) 梨状筋は,仙骨前面から大転子に走行し,殿部の深層にある.
正解 : (2),(3)
【解法の要点】
図中の筋が各々どの筋であるのかがわかれば,解答は難しくない.矢印は後脛骨筋を示している.
【解説】
✕(1) 膝関節の屈曲には半膜様筋,半腱様筋,大腿二頭筋,腓腹筋などが作用する.
◯(2),(3) 後脛骨筋は足の底屈,内がえしに作用する.下腿中央において,後脛骨筋は下腿部後面の最も深層部にある.
✕(4) 母指の屈曲には主に長母指屈筋が作用する.
✕(5) 第2~5指の屈曲には主に長指屈筋が作用する.
正解 : (2),(3)
【解法の要点】
体表から触知できる筋はぜひ把握しておいてほしい.
【解説】
✕(1) 棘上筋は僧帽筋の下層にあるため,筋腹は直接触知できないが,肩関節内転位にて停止部の触知は可能である.
✕(2) 方形回内筋は前腕深層にあるため直接触知できないが,前腕回内運動にて収縮を触知できる.
✕(3) 小殿筋は中殿筋によって完全に覆われており,作用もほぼ中殿筋と同様であるため,両者を区別して触知することは難しい.
✕(4) 中間広筋は表層に大腿直筋が走行しており,筋腹中央を触知するのは難しい.
◯(5) 長腓骨筋は下腿外側にて容易に触知できる.
正解 : (5)
【解法の要点】
下腿の筋の付着部位についての知識を問う問題である.筋の付着部を知っていると関節の運動がわかるような問題なら適切と考えるが,本問はただ知識だけを求めているようであり,応用が利く問題ともいえないだろう.
【解説】
◯(1) 大腿二頭筋は腓骨頭と脛骨外側顆に付着する.
✕(2) 半腱様筋は脛骨上部内側面に付着する.
✕(3) 前脛骨筋は脛骨外側顆に付着する.
◯(4) 後脛骨筋は脛骨,腓骨,下腿骨間膜に付着する.
✕(5) 短腓骨筋は腓骨外側面に付着する.
正解 : (1),(4)
【解法の要点】
筋の起始と停止に関する問題である.
【解説】
✕(1) 恥骨筋は恥骨上枝(恥骨櫛)から起こり,大腿骨後内側面(恥骨筋線)に停止する.
✕(2) 縫工筋は上前腸骨棘から起こり,脛骨粗面内側で停止する.
✕(3) 短内転筋は恥骨体,恥骨下枝から起こり,大腿骨後面(粗線)上部に停止する.
◯(4) 長内転筋は恥骨体から薄筋とともに起こり,筋束となって放散して大腿骨の粗線中央1/3の内側唇に付く.
◯(5) 大腿二頭筋は長頭が坐骨結節から起こり,短頭が大腿骨後面(粗面)外側唇下方の1/2から起こり,どちらも腓骨頭および脛骨外側顆で停止する.
正解 : (4),(5)