【解法の要点】
腎臓の解剖・生理学に関する問題である.腎臓は皮質と髄質からなり,主な構造物は腎小体(Bowman囊+糸球体),尿細管,集合管である.皮質は腎臓の外周部で,主に腎小体(マルピーギ小体)で構成されている.腎小体は毛細血管網の糸球体とこれを包む糸球体囊(Bowman囊)からなる.この糸球体の毛細血管から血液がろ過され,Bowman囊に入る.
【解説】
✕(1) Bowman囊は近位尿細管に接続する.集合管は遠位尿細管と接続している.
◯(2) 近位尿細管では,水,ナトリウム,カリウム,クロール,リン,カルシウム,アミノ酸,グルコース,尿酸などほとんどの電解質が再吸収される.
✕(3) 腎臓における尿生成の機能単位をネフロンといい,腎小体(糸球体,Bowman囊)と尿細管から構成される.
✕(4) 糸球体係蹄壁では大きさによる選択(サイズバリア)と荷電による選択(チャージバリア)により限られた物質のみが濾過され原尿となる.アルブミンは,高分子でサイズが大きく,また基底膜は陰性に荷電しているため,陰性荷電物質は電気的反発により濾過されにくい.
✕(5) 糸球体濾過量(原尿)は1日におよそ150Lであるが,尿細管で99%が再吸収され,実際の尿量は1.5L程度となる.水の再吸収の大部分は単純に尿細管の管腔内外の浸透圧差によって行われる.
正解 : (2)
【解法の要点】
排便機構,下部消化管の構造,機能の知識が問われている.排便の中枢は仙髄にあり,便が直腸に入り,直腸内壁が便により伸展すると,その刺激が仙髄の排便中枢に伝達され,直腸の収縮,内・外肛門括約筋の弛緩が起こって排便に至る(排便反射).
【解説】
◯(1) 骨盤神経は直腸壁伸展を感知すると仙髄の排便中枢,さらには大脳に興奮を伝え,便意を生じさせる.
✕(2) 内肛門括約筋は不随意な平滑筋である.骨盤神経を介して弛緩する.
✕(3) 排便中枢は第2~4仙髄と橋にあり,大脳や脳幹の上位中枢からの抑制を受ける.
✕(4) 消化管の蠕動運動は,連続した輪状筋の収縮によって生じる.輪状筋は食塊の口側で収縮し,肛門側で弛緩して食塊を肛門側に押し出す.縦走筋は収縮して,尺取虫のような振子運動をし,内容物を混和する.
✕(5) 外肛門括約筋は陰部神経を介して弛緩する.
正解 : (1)
【解法の要点】
排便機構,下部消化管の構造・機能の知識が問われている.
【解説】
✕(1) 排便中枢は第2~4仙髄に存在し,通常は中枢からの抑制を受けている.
◯(2) 外肛門括約筋は随意筋であり陰部神経支配である.
✕(3) 逆蠕動は上行結腸でみられ,直腸側から口(盲腸)側へと逆方向に移動する蠕動運動である.
✕(4) 直腸壁が伸展することにより,直腸壁に分布している骨盤神経を介して興奮が仙髄の排便中枢,大脳に伝わり便意を催す.
✕(5) 内肛門括約筋は平滑筋であり,副交感神経の緊張で弛緩する.
正解 : (2)
【解法の要点】
内尿道括約筋は下腹神経の刺激により収縮する不随意筋であり,排尿を抑制する.外尿道括約筋は陰部神経支配の随意筋であり,これも収縮することで排尿を抑制する.
【解説】
✕(1) 排尿時は内尿道括約筋,外尿道括約筋が弛緩し,排尿筋が収縮する.
✕(2) 膀胱に尿が溜まり膀胱内圧が上昇すると,骨盤(内臓)神経の求心性線維を刺激し,尿意として感じられる.
✕(3) 尿道を尿が通る知覚は排尿筋の収縮を促進する.
◯(4) 膀胱括約筋は内尿道括約筋ともいい,ノルアドレナリンの作用で収縮し,蓄尿に関わる.
◯(5) 大脳では排尿の意志が生じるまで,排尿反射が起こらないように橋排尿中枢を抑制し,蓄尿が形成される.
正解 : (4),(5)
【解法の要点】
排便機構を介して,下部消化管に関わる構造・機能の知識が問われている.
【解説】
✕(1) 排便時には横隔膜が収縮し,腹圧が高まることで排便を促す.
✕(2) 排便に関与する神経は骨盤(内臓)神経と陰部神経である.
✕(3) 排便の際には,直腸平滑筋は収縮し,内肛門括約筋(不随意筋)は弛緩する.最終的に随意筋である外肛門括約筋が弛緩することで,排便する.
◯(4) 直腸壁が加圧されると骨盤神経を介して興奮が仙髄の排便中枢に伝わり,便意を催す.
✕(5) 直腸の収縮を促す神経伝達物質はアセチルコリンである.
正解 : (4)