【解法の要点】
膝関節屈曲と足関節底屈の両方に作用する筋は,膝関節および足関節に付着する二関節筋を選択する.
【解説】
✕(1) 足の長指屈筋は,第2~5指末節骨底に付着し,足関節の底屈・内がえしに働く.
✕(2) 後脛骨筋は,舟状骨,第2~4中足骨,3個の楔状骨,立方骨に付着し,足関節の底屈・内がえしに作用する.
✕(3) 膝窩筋は,脛骨上部後面に付着し,膝関節の屈曲・内旋に働く.
◯(4) 足底筋は,大腿骨の外側上顆から始まり,下腿の背面を走行し,踵骨隆起に停止する.腓腹筋とヒラメ筋に挟まれて存在し,距腿関節底屈,足部回外,膝関節の屈曲に働く.
◯(5) 腓腹筋は,大腿骨の内側上顆,外側上顆より始まり踵骨隆起に停止する(停止腱はアキレス腱).膝関節の屈曲と足関節の底屈に働く.
正解 : (4),(5)
【解法の要点】
大腿二頭筋,半腱様筋,半膜様筋はハムストリングスとよばれ,膝関節の後面で膝窩の左右両側を囲んでおり,股関節伸展・膝関節屈曲作用に加え,内側の半腱様筋,半膜様筋は股関節内旋,外側の大腿二頭筋は外旋作用を有している二関節筋である.
【解説】
✕(1) 大腿筋膜張筋は股関節を屈曲・外転・内旋,膝関節を屈曲・伸展・外旋させる.
✕(2) 大腿二頭筋は股関節を伸展・外旋,膝関節を屈曲させる.
✕(3) 中間広筋は膝関節を伸展させる.
◯(4) 半腱様筋は主に股関節伸展・内転・内旋,膝関節屈曲・内旋に作用する.半膜様筋,半腱様筋は,股関節の内旋の補助動筋として働く.
✕(5) 縫工筋は股関節を屈曲・外転・外旋,膝関節を屈曲・内旋させる.
正解 : (4)
【解法の要点】
膝の運動に伴う膝蓋骨の動きについて問う問題である.膝蓋骨は人体最大の種子骨で大腿骨前面に位置し,膝関節伸展力を脛骨に伝える役割を担う.
【解説】
✕(1) 膝蓋骨関節面は外側面のほうが内側面より広い.
✕(2) 膝蓋骨は屈曲に伴い大腿骨の下方(遠位)および後方(大腿骨側)に移動し,顆間窩に挟まれるように固定されるため,可動性は低くなる.
◯(3) 膝蓋骨は大腿四頭筋腱を前方へ変位させ,アームを長くすることにより,大腿四頭筋の収縮作用効率を高めている.
✕(4) 膝蓋骨は屈曲に伴い大腿骨の下方および後方に移動する.
✕(5) 膝関節伸展に伴い膝蓋骨は上方に移動して,接触面は下降する.
正解 : (3)
【解法の要点】
膝関節半月板の解剖と機能に関する問題.半月板は,膝関節の安定化,滑液の循環,荷重の分散化などの役割を担う.膝の屈曲で半月板は後方に移動するが,外側半月板の方が小さくて側副=靱帯に付着していないので,内側半月板より屈伸・内外旋での移動量が大きいということがわかっているか問われている.
【解説】
✕(1) 膝関節の安定化のためにも,外縁は厚く,内縁は薄くできている.
◯(2) 外側側副靭帯は外側半月板に結合しない.内側半月板は関節包を介して内側側副靭帯に固定されるが,外側半月板は外側側副靭帯から分離して可動性をもつ.靭帯に結合していると,伸展時に脛骨の外旋が困難である.
✕(3) 大腿骨と脛骨の適合性を高める.
✕(4) 内側半月板はC型をしており,O型をした外側半月板よりも大きい.
✕(5) 膝関節半月板は膝関節の伸展に伴い前方に移動する.膝関節屈曲時には,後方に移動する.立位で前方に荷重され,屈曲したとき後方に圧力がかかることを考えると半月板の動きが理解できる.
正解 : (2)
【解法の要点】
膝関節の運動に伴う靱帯の働きと半月板の動きについて問われている.前十字靭帯(ACL)は脛骨の前方移動を防ぎ,後十字靭帯(PCL)は脛骨の後方移動を防ぐ.
【解説】
✕(1) 外側側副靭帯は膝関節の伸展に伴い緊張する.
✕(2) 内側側副靭帯は外側側副靭帯と同様に,膝関節の伸展に伴い緊張する.
◯(3) 前十字靭帯は膝関節の伸展に伴い緊張する.
✕(4) 後十字靭帯は膝関節の伸展に伴い弛緩する.
✕(5) 半月板は膝関節の伸展に伴い前方に移動する.
正解 : (3)