【解法の要点】
肩関節である.ローテータカフを構成する4つの筋(棘上筋,棘下筋,小円筋,肩甲下筋)を中心にしっかり押さえておきたい.主動作筋と補助動筋は覚えておく.
【解説】
✕(1) 棘下筋は主に肩関節外旋に作用する.棘下筋の上腕骨骨頭の付着部は,棘上筋の付着部側まで広範囲に広がっており,棘下筋の一部は棘上筋と同様の機能を有する可能性があるとされている.
✕(2) 棘上筋は主に肩関節外転に作用する.
◯(3) 広背筋は肩関節伸展・内転・内旋に作用する.
✕(4) 上腕三頭筋は肘関節伸展,長頭は肩関節伸展に作用する.
✕(5) 烏口腕筋は肩関節屈曲・内転に作用する.
正解 : (3)
【解法の要点】
肩関節を挙上した際の肩甲上腕関節と肩甲胸郭関節との間には自然な運動学的リズムが存在し,肩関節外転30°あたりから一定しており,その比率は肩甲上腕関節と肩甲胸郭関節でほぼ2:1になるとされている(肩甲上腕リズム).よって題意のとき,肩甲骨上方回旋角度は(90°-30°)÷2=30°である.
【解説】
◯(2) 解法の要点 参照.
正解 : (2)
【解法の要点】
肩関節の運動は複雑なため,筋の解剖と併せて理解しておこう.水平屈曲に作用する代表的な筋は大胸筋,三角筋前部であるが,本問においては,筋出力として比較的小さな筋の理解が求められている.
【解説】
✕(1) 広背筋は肩関節の伸展,内転,内旋,水平伸展に作用する.
✕(2) 大円筋は肩関節の伸展,内転,内旋,水平伸展に作用する.
✕(3) 棘下筋は肩関節の外旋,水平伸展に作用する.
◯(4) 烏口腕筋は肩関節の屈曲,内転,水平屈曲に作用する.屈曲,内転では主動筋の補助的な役割を果たしている.
✕(5) 肩甲挙筋は肩甲骨の挙上,下方回旋に作用する.
正解 : (4)
【解法の要点】
肩関節・肩甲帯周囲の解剖・運動は運動学のヤマである.運動に対応する筋,各々の筋が行う運動の両方向で整理して,記憶しておくとよい.
【解説】
✕(1) 前鋸筋は肩甲骨の外転,上方回旋に作用する.
◯(2) 小胸筋は肩甲骨の外転,下制,下方回旋に作用する.臨床的に小胸筋のタイトネスはしばしば肩甲骨の上方回旋制限を招く.
✕(3) 小円筋は肩関節の外旋,内転,水平伸展に作用する.
✕(4) 棘下筋は肩関節の外旋,水平伸展に作用する.
✕(5) 鎖骨下筋は鎖骨を下制し,関節的に肩甲骨に作用する.
正解 : (2)