【解法の要点】
骨盤と腰椎について問われており,立位における正常アライメントをまとめて理解しておく.
【解説】
✕(1) 腰仙角とは第5腰椎軸と仙骨軸とのなす角のことで平均143°である.仙骨傾斜角(水平線と第1仙椎上部を通る直線とのなす角:平均30°)もよく用いられる.
✕(2) 胸椎と仙椎は後弯,頸椎と腰椎は前弯を示す.
✕(3) 重心は骨盤内の第2仙椎の前方にある.
✕(4) 矢状面における身体の重心線は足関節前方を通る.
◯(5) 両上前腸骨棘と恥骨結合を含む面は同一垂直面上にある.
正解 : (5)
【解法の要点】
姿勢保持の条件について問うている.実際の場面を想像できれば解答は容易である.患者の姿勢保持や介助を行ううえでボディメカニクスの理解は重要となる.
【解説】
✕(1) 両足を広げて支持基底面積を広くすることで姿勢は安定する.
✕(2) 重心は低い方が姿勢は安定する.膝を曲げると重心が下がり安定する.
✕(3) 氷などの摩擦が少ない面よりはアスファルトなどの摩擦が大きい面に接している方が姿勢は安定する.
◯(4) 安静立位姿勢の前後方向の理想的な重心線は,乳様突起(耳垂のやや後方)─肩峰─大転子─膝関節前部(膝蓋骨後面)─外果前方を通る.ヒトの身体全体の重心は,身体各部の部分重心をつなぐことにより求めることができる.上半身と下半身の重心線が一致する姿勢においては,身体全体の重心線が支持基底面内に収まり,立位姿勢が安定すると考えられる.
✕(5) 重心線が支持基底面の中心の近くを通るほど姿勢は安定する.
正解 : (4)
【解法の要点】
安静時立位姿勢の重心線が通る場所や重心動揺についての知識が必要である.立位姿勢の保持に働く筋は抗重力筋とよばれ,中枢からのフィードバックにより緊張・弛緩を細かくコントロールしている.抗重力筋の中でも特に姿勢保持に働く筋群を主要姿勢筋とよび,背側にある筋群を指す.立位保持の際,背側の抗重力筋(脊柱起立筋,大殿筋,ハムストリングス,下腿三頭筋)は持続的に活動している.
【解説】
✕(1) 頭部や重心は常に動揺している.
◯(2) 立位保持の際,背側にある抗重力筋の腓腹筋は持続的に活動をしている.正常立位での重心線が身体のやや前方を通っているため,背側にある筋群はすべて持続的な筋緊張を保たなければならない.
✕(3),(4) 腹直筋,大腿直筋は腹側にあるため,持続的な緊張を必要とせず,動揺する身体を調節する際に,断続的に収縮すれば立位を保つことができる.
✕(5) 重心動揺は前後方向の方が左右方向に比べて大きい.
正解 : (2)
【解法の要点】
重心に関する問題である.頻出事項なので過去の問題も含めてしっかり復習しておくことが重要である.
【解説】
✕(1) 重心は骨盤内の第2仙椎の前方にある.
✕(2) 閉眼するとやや前方に移動する.これは視覚による姿勢制御の補助を失うためといわれている.
✕(3) 小児は胴体が大きいため,重心は成人より高く頭側にある.
✕(4) 膝関節前部(膝蓋骨後面)を通る.
◯(5) 老年期には重心動揺面積は増大する.
正解 : (5)
【解法の要点】
基本的重心線は,乳様突起(耳垂のやや後方),肩峰,大転子,膝関節前部(膝蓋骨後面),外果前方であり,股関節の後方,膝関節の前方,足関節の前方を通る.重心線が膝関節の後方や股関節の前方を通るような姿勢をとると,関節に屈曲モーメントが起こり,これに抵抗しようと大腿四頭筋や大殿筋が働く.
【解説】
◯(1) 解法の要点参照.
✕(2) 重心線は膝関節前方を通る.
✕(3) 重心線は環椎後頭関節の前方を通る.
✕(4) 重心位置は第2仙椎のやや前方にある.
✕(5) 成人では小児よりも身長に対する重心位置が低い.
正解 : (1)
【解法の要点】
立位姿勢を保持するために抗重力筋とよばれる筋の活動がある.抗重力筋の中で特に重要な頸部筋,脊柱起立筋,大腿二頭筋,ヒラメ筋は,主要姿勢筋とよばれる.
【解説】
✕(1) 視覚情報によって姿勢制御の補助を行うため,閉眼時は重心動揺が増大する.深部感覚が障害されると閉眼時に姿勢保持ができなくなる(Romberg徴候).
✕(2) 重心動揺は幼児期から年齢とともに減少して20歳代には最小となり,その後は増加傾向となり70歳代以降は特に動揺が大きくなる.
✕(3) Y靭帯(腸骨大腿靭帯)は,股関節の伸展,内外転,外旋で最大緊張する.立位姿勢では緊張し,立位の安定に関与する.
◯(4) 立位姿勢の保持に抗重力筋のヒラメ筋が関与する.
✕(5) 重心は第2仙椎のやや前方にある.
正解 : (4)