【解法の要点】
運動学習の効果に関わる重要な要因には,教示やフィードバックがある.教示は運動前に情報を伝える方法であり,運動中ないし後に情報を伝える方法がフィードバックである.フィードバックの内容には,運動がうまくいったかどうかを伝えるパフォーマンスの知識(KP)がある.学習者は練習時に結果の知識(KR)を得ることで誤差を抽出し,次の練習までに誤差修正を行う.
【解説】
✕(1)~(4) 運動後のその結果に対する情報であるので,結果の知識(KR)である.
◯(5) 運動中の特徴はパフォーマンスの知識(KP)である.
正解 : (5)
【解法の要点】
運動学習について問う問題.過去にも類題が出題されており,ここで問われている内容は確実に理解しておきたい.運動学習の段階は,①運動課題の目標を理解し,②運動を調節し,③最終段階として完成された動作へ自動化されることである.
【解説】
✕(1)動機付けがあるとパフォーマンスは向上するが,比例関係にあるわけではない.
✕(2) 覚醒レベルとパフォーマンスの関係における「逆U字曲線」は必ず理解しておくこと.パフォーマンスは覚醒レベルが中等度のときに最大となり,覚醒レベルが低すぎても高すぎても低下する.
✕(3) 学習によるパフォーマンスの向上は直線的に起こるわけではない.
◯(4) 学習の転移とは,以前行った学習が後に行う学習に影響を及ぼすことをいう.2種類の運動課題間に類似性があるほど,当然転移の影響は大きくなる.
✕(5) 学習曲線のうち加速曲線やS型曲線のように最終段階にてパフォーマンスに変化が生じないものがある.パフォーマンスの向上がみられないからといって必ずしも学習の停止を意味するわけではない.
正解 : (4)
【解法の要点】
運動学習の効果に関わる重要な要因に,教示やフィードバックがある.教示は運動前に情報を伝える方法であり,運動中ないし後に情報を伝える方法にフィードバックがある.結果の知識(KR)や,運動の特徴について伝えるパフォーマンスの知識(KP)がある.
【解説】
✕(1) 平均フィードバックは数試行分のフィードバックの平均値のみを呈示する.
✕(2) 帯域幅フィードバックは,パフォーマンスの目標値に対して一定の幅を設け,これを外れた場合にのみ誤差情報を呈示する.
◯(3) 同時フィードバックは運動遂行中に与えられるフィードバックであり,最終フィードバックは運動終了後に与えられるフィードバックである.
✕(4) 漸減的フィードバックはフィードバック情報の呈示回数を徐々に減らす.
✕(5) 要約フィードバックは数試行分のフィードバックをまとめた形で呈示する.
正解 : (3)
【解法の要点】
学習者は練習時に結果の知識(KR)を得ることで誤差を抽出し,次の練習までに誤差修正を行う.この繰り返しによって運動技能は学習されるため,KR の与え方が運動技能の学習に及ぼす影響については様々な検討がされている.
【解説】
✕(1) 難しい課題では1 試行ごとに提示すると学習効率が上昇する.
✕(2) 運動学習の初期では付与されたKR によって学習者は運動の誤差修正を行うが,自己の固有感覚情報を利用して運動の誤差修正を行えるようになればKR は不要である.
✕(3) 成人でも学習パフォーマンスは向上する.
◯(4) KR の内容に含まれる.
✕(5) 結果の知識(KR)の提示を与えることにより動機付けとなり,学習者のやる気にもつながるため効果がある.
正解 : (4)
【解法の要点】
運動学習における部分法は,運動課題をいくつかの部分に分けて訓練を行う方法である.全体法は,運動課題を初めから終わりまで一連の動作を続けて行う方法である.一般的には全体法の方が能率的とされており,部分法は,運動課題が複雑で難しい場合や,運動課題での連続性が重要でない場合,動作の一部分を強調して行う場合などに用いられる.
【解説】
✕(1) 歩行は,本来自動的な制御を受けて行われる動作で,また,連続的(止まることなく)に行われるため,一部分を取り出した学習よりも全体法の方が適している.
◯(2) 食事動作は多種類の動作を含む複合動作であり,各動作(食器を持つ,スプーンですくうなど)は独立して実施可能であるため,困難な動作に集中して行うことで能率を上げることができる.
✕(3) 歩行に比べると動作の困難さが増加するが,やはり連続的な動作であるため全体法で実施する方が学習効率はよい.
✕(4) リーチ動作は短時間で終了する比較的単純な動作のため,部分に分ける必要性が低い.
✕(5) 4と同様に動作が短時間で終了し,さらに,立ち上がり動作ではタイミングが重要になるため,部分法では動作の統合が困難である.
正解 : (2)