【解法の要点】
糖尿病の三大合併症以外を知っているかを問う問題である.糖尿病が神経や血管を障害しやすいことを覚えておくと考えやすい問題である.
【解説】
◯(1) 糖尿病による血行障害により水晶体への栄養も障害されるため,白内障になりやすい.
✕(2) 尿路結石は痛風などの高尿酸血症により来しやすい.
◯(3) 糖尿病は脳血管障害の重要なリスク因子である.
◯(4) 糖尿病は冠動脈硬化を来す虚血性心疾患の重要なリスク因子である.
◯(5) 閉塞性動脈硬化症は糖尿病による血行障害により,特に下肢の太い血管に起こりやすい.
正解 : (2)
【解法の要点】
糖尿病性腎症は,糖尿病に伴う高血糖により引き起こされる腎障害で,糖尿病三大合併症の1つである.臨床的に,蛋白尿,浮腫,高血圧,腎不全をきたす.
【解説】
✕(1) 進行例では著名な蛋白尿をきたす.この歳,血尿,円柱などを伴わないことが特徴である.
◯(2) 糖尿病性腎症は,形態的に,細小血管病変を基礎にした糖尿病性糸球体硬化症を来す・
✕(3) 高血糖が続いた結果,腎糸球体に糖尿病性細血管症が生じ,腎機能が低下する疾患である.
✕(4) 糖尿病性腎症の診断には,糖尿病の罹患機関が5年以上,網膜症,神経障害などの他の合併症を有することが重要である.
◯(5) 糖尿病性腎不全は,透析新規導入原因の第1位となっている.
正解 : (2),(5)
【解法の要点】
糖尿病における運動療法は,インスリン抵抗性を改善させる長期的効果と,筋血流上昇を介して食後高血糖を下げる短絡的な効果がある.しかし血糖値のコントロールが非常位悪い場合,さらに糖尿病により合併症が進行した例では,運動療法はしばしば禁忌となる.
【解説】
✕(1) インスリンの抵抗性の増大は,2型糖尿病の病態の悪化を示しており,運動療法の効果を示しているものではない.適切な運動療法によってインスリン感受性の増大(抵抗性の改善)の効果が期待される.
◯(2) 有酸素運動によって血管内皮機能が改善し,血圧が低下するとされている.
◯(3) インスリン抵抗性の改善により,血糖値は下がり,血糖コントロールは改善される.
◯(4) 運動療法によって中性脂肪が減少,HDLコントロールを増加させ脂質代謝が改善される.
◯(5) 運動療法によって,歳代酸素摂取量が増大するなど,心肺機能が改善される.
正解 : (1)
【解法の要点】
糖尿病の運動療法についての問題である.
【解説】
✕(1) 実生活の中で実施可能な時間ならいつでもよいが,食事1~2時間までに行うと食後の高血糖が改善するとされる.
✕(2) 冷汗は低血糖発作の予兆である.
✕(3) 運動療法はインスリン感受性を上昇(抵抗性を改善)させるので,中止しなくてもよい.ただし,低血糖を防ぐため,注射部位の運動は避け,食後1時間程度経過してから行う.
✕(4) 血糖コントロールが極端に悪い場合の運動療法は禁忌である.
◯(5) 増殖網膜症がある場合,運動療法を禁止または制限する.
正解 : (5)