【解法の要点】
繰り返し出題されている内容であり,正答を得るのは容易であろう.各時期における発達課題について代表的なものはよく見直しておくこと.
【解説】
✕(1) 自我同一性とは,自分という存在が一貫し,連続しているという主体的な感覚をいう.青年期の課題である.
✕(2) エディプス葛藤は,幼児後期の課題である.
✕(3) 空の巣症候群とは,子が巣立った後に親が,肩の荷が下りるとともに空虚感や淋しさに襲われ,不安や抑うつ症状を来すことである.壮年期の課題である.
✕(4) Trail making test(TMT)は注意検査の一つで,視覚による探索能力と,注意の持続の有無を測定できる.紙面にランダムに並べられた数字を順番にたどり,線で結んでいく.
◯(5) 老年期になると社会的な役割が減り,身体的にも困難なことが多くなるため外出も減り,社会的孤立を招きやすい.老年期の課題である.
正解 : (5)
【解法の要点】
設問の「成人期後期(50~60歳ころ)」は,その後の老年期(65歳~)の前の段階であり,社会的役割も重く,人生の集大成に備える時期である.
【解説】
✕(1),(5) 老年期にあらわれる.
✕(2) 青年期後期(大学生年代)の,成人社会に入る前に与えられる猶予期間のことをモラトリアムという.
✕(3) 成人期前期〜中期(20~40歳ころ)にあらわれる.
◯(4) 成人期後期にあらわれる.
正解 : (4)
【解法の要点】
発達課題とは,「人間が健全で幸福な発達を遂げるために各発達段階で達成しておかなければならない課題」であり,「次の発達段階にスムーズに移行するために,それぞれの発達段階で習得しておくべき課題がある」とされる.Eriksonの発達段階の区分は明確なので覚えやすい.
【解説】
◯(1) 勤勉性は学童期の課題である.新しい技術を学ぶことで勤勉さを身に付け,仕事をやり遂げる喜びを体験する時期である.
✕(2) 積極性(自発性)は幼児後期の課題である.外の機会との関わりが始まる.✕(3) 自律性は幼児前期の課題である.「知りたい」「やってみたい」などの欲求である.
✕(4) 親密性は成人期の課題である.他者への愛と仕事への没頭.
✕(5) 同一性は青年期の課題である.社会的役割の自覚.自分は他者からどう見られているかに関心をもつ.
正解 : (1)
【解法の要点】
中学生という時期は,青年期(11~20歳)の前半あるいは思春期(11~14歳)に相当する.性的成熟と親からの精神的自立が始まる時期である.
【解説】
✕(1) 性の相違を理解するのは幼児期である.
✕(2) 自我同一性が完成する.
✕(3) 中学生は,第二次反抗期にあたり,自我確立の過程で親,教師,権威に強い反抗を示したりする.教師や指導者に従順なのは,学童期である.
◯(4) 中学生では,第二次性徴に伴い性的衝動が生じ,そのコントロールの過程で様々な問題に直面する.
✕(5) 中学生では,親などの権威に反抗する一方で,同世代には仲間として承認されたいという欲求が強まる.友人関係より親子関係を重視するのは,乳幼児期である.
正解 : (4)
【解法の要点】
うつ病の患者への基本的な対応を問うており,設問の内容はしっかりと覚えておくこと.また励ましは禁忌である.
【解説】
◯(1) 急性期には,休息が最も優先すべき治療法である.
◯(2) うつ病の患者は自殺企図が多いため,つらくても自殺しないことを約束させる.自殺を話題にすることで自殺を考えてしまうのではないかと思うかもしれないが,実際にはこのように約束することで,自殺をしたくなっても思いとどまらせる効果がある.
◯(3) 重大な決断(退職,離婚など)は先延ばしにさせるのが原則である.
◯(4) 抗うつ薬には吐き気や眠気などの副作用があるので,それを説明し,自己中断しないで次の診察時に報告するようにあらかじめ伝えておく.
✕(5) 患者にうつ病であることを伝えることで,自身の症状に対しての理解が深まり,治療者とともに病気に立ち向かっていこうとする意欲が湧く.
正解 : (1)