【解法の要点】
新しい経験が脳内に保存され,その経験が意識や行為の中に再生されることを記憶という.
【解説】
✕(1)長期記憶は,記銘・保持・想起の3つの過程からなる.責任領域は海馬,大脳皮質などである.
✕(2)手続き記憶とは,動作・行為における技能など,繰り返しによって「体で覚えた」記憶である.責任領域は小脳などである.
✕(3)プライミングとは「入れ知恵」ともよばれるもので,以前に入力された情報が無意識に記憶され,その後の認識などの脳機能に影響を与える記憶のことをいう.責任領域は海馬,大脳皮質などである.
✕(4)エピソード記憶とは,「いつ,どこで,何をした」という個人的な体験や,出来事の記憶である.責任領域は海馬.大脳皮質などである.
◯(5)ワーキングメモリーとは,情報を一時的に保持し,意識的に操作することができる記憶のことである.責任領域は前頭連合野である.
正解 : (5)
【解法の要点】
新しい経験が脳内に保存され,その経験が意識や行為の中に再生されることを記憶という.記憶は海馬で一時的に保存された後,大脳新皮質へと送られて長期的に保存されると考えられている(長期記憶).長期記憶の過程は,記銘・保持・想起の3つの過程からなる.
【解説】
◯(1) 記銘とは,入力情報を脳内で処理できる形に符号化する過程である.
✕(2) 計画立案は遂行機能に含まれる.
◯(3) 想起とは,記憶を再生する過程である.
✕(4) 転換とは,受け入れ難い自己の感情を別の対象に向けることで解消する防衛機制である.
✕(5) 配分とは注意機能の一つであり,多方面に注意を向ける機能をいう.配分性注意障害が起こると複数の作業を並行して行うことができなくなる.
正解 : (1),(3)
【解法の要点】
ワーキングメモリー)は,環境から新しく入ってくる短期記憶を保持する過程と,保持された短期記憶の情報と長期記憶から取り出される情報とを照合して処理する過程の両方に関与している.
【解説】
✕(1) 数日間保持されるのは近時記憶である.
✕(2) 非宣言的記憶の1つである.
✕(3) 技能の記憶として機能するのは手続き記憶である.
✕(4) 生活史など,自分の過去の経験を伴う記憶はエピソード記憶である.
◯(5) ワーキングメモリーが短期記憶と異なるのは,情報を保持している間に他の情報処理を行うことである.
正解 : (5)
【解法の要点】
手続き記憶とは「体で覚える」記憶である.
【解説】
✕(1) 即時記憶とは数秒~数分の記憶のことである.
✕(2) 意味記憶とは陳述記憶のことであり,言語,知識,社会的常識などの記憶を指す.
✕(3) 近時記憶とは数分~数日の記憶のことである.
◯(4) 手続き記憶は非陳述記憶であり,意識に上らない記憶である.例として,自転車の乗り方や楽器の演奏の仕方などが挙げられる.
✕(5) エピソード記憶とは陳述記憶のことであり,生活史など自分の過去の経験を伴う記憶をいう.
正解 : (4)
【解法の要点】
プライミング記憶とは,「入れ知恵記憶」ともよばれるもので,以前に入力された情報が無意識に記憶され,その後の認識などの脳機能に影響を与える記憶のことをいう.例えば「やまなしけん」という文字を事前に見ていれば,「やま○○けん」という穴埋めを見たときに,「やまなしけん」と想起しやすく,「やまがたけん」「やまぐちけん」となる可能性は低くなる.これがプライミング記憶の例である.
【解説】
✕(1) 学習によって習熟するものではなく,無意識に記憶されるものである.
✕(2) 健忘症候群は,記銘力低下,追想障害,見当識障害(今の時間,今いる場所,今そばにいる人がわからなくなること),作話(記憶があいまいなため出まかせの話をすること)からなる症候群のことである.アルコール性の認知症であるコルサコフ症候群が代表例である.
◯(3) プライミング記憶は,意識に上らない潜在記憶の一つである.
✕(4) プライミング記憶は,長期記憶に分類される.
✕(5) プライミング記憶は,非陳述記憶(運動,技術など,意識に上らない記憶)の一つである.これに対して陳述記憶とは,言語や知識などの意味記憶や,個人の思い出などのエピソード記憶など,言語化できる記憶をいう.
正解 : (3)